レビュー
てっぺい

てっぺい

3 months ago

4.0


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アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ

映画 ・ 2025

平均 3.8

2025年12月18日に見ました。

【焼かれる映画】 映像美を浴びに行ったはずが、火と灰から描かれる心の表現に没入する。陸海空で幅が広がった映像表現をずっしり味わう3時間。スペクタクルの先に、怒りと喪失の物語が静かに焼き付く。 ◆トリビア ◉900人が作る異世界 アバターの映像美は、圧倒的な制作規模と計算量によって支えられている。900人規模のCGスタッフ、2500以上のVFXショット、数十億単位のレンダリング…これらが“CGに見えない世界”を作り上げている。 (https://www.foundry.com/insights/film-tv/mari-avatar) ◉ナヴィ語は適当じゃない ナヴィ語は言語学者ポール・フロマーが設計した人工言語。文法や発音体系を持ち、語彙は2,600語以上。俳優が実際に話せるレベルまで作り込まれている。 (https://en.wikipedia.org/wiki/Na%27vi_language) ◉撮影前に映画は完成 本シリーズでは、実写撮影前にCG空間でカメラワークや演出をほぼ完成させる「バーチャル・シネマトグラフィ」を採用。実写撮影は“完成済みの設計図をなぞる工程”へと変化した。 (https://en.wikipedia.org/wiki/Virtual_cinematography) ◉悪役を演じていない悪役 ウーナ・チャップリン演じるヴァランは一見“敵役”でも、本人は「悪ではなく部族のために戦う指導者」と捉え、“悪役と思わずに”役の本質を深く理解して演じたという。 ▷プロデューサー「ウーナの演技は、本当にすばらしいです。悪役ではあるのですが、私は見ていて言葉も出ませんでした。思わず泣いてしまいました」 (https://press.moviewalker.jp/news/article/1313195/) ◉演技を消さないCG 本シリーズでは、俳優の演技をCGキャラクターに反映させるためパフォーマンスキャプチャ技術を採用。身体の動きだけでなく顔の表情も記録され、キャラクターの感情表現を重視した映像表現が実現されている。 (https://en.wikipedia.org/wiki/Avatar_(2009_film)#Technology) ◉タイトルに込めた悪循環 キャメロン監督によると、「火」は憎しみ・怒り・暴力を、「灰」はその後に残る悲嘆や喪失を象徴するという。 ▷「そして、その先に何が生まれるのか? さらなる暴力、さらなる怒り、さらなる憎しみだ。 つまり、これは悪循環なんだ。」 (https://www.gamespot.com/articles/why-is-avatar-3-called-fire-and-ash-james-cameron-explains/1100-6525796/) ◉深さを選んだ キャメロン監督は本作について、「単に暗い映画ではなく、壮大な冒険の中でキャラクターの内面の深い部分を掘り下げる作品」だと語り、視覚的・感情的にも過去作より踏み込んだ構造になることを示唆した。 (https://www.imdb.com/title/tt1757678/trivia/) ◉330億円を逃した公開 マット・デイモンは、「アバター」の2億5,000万ドル(約330億円)のギャラと利益の10%を受け取る出演オファーを断ったことを後悔。ジェームズ・キャメロンは「もう忘れろ」と諭しているという。 ▷マット「俺ほど大金を逃した俳優は他にいないよね」 (https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/james-cameron-matt-damon-should-not-regret-turning-down-avatar) ◉音楽もピカイチ 第83回ゴールデングローブ賞では、本作のエンドソングであるマイリー・サイラス「Dream As One」が主題歌賞にと興行成績賞にノミネートされている。 (https://www.20thcenturystudios.jp/movies/avatar3/news/20251211_01) ◉次々作まで発表済み 続編は、「アバター4」(29年)「アバター5」(31年)までの製作がすでに発表されている。 (https://www.cinematoday.jp/news/N0137412) ◆概要 【監督】 ジェームズ・キャメロン(「ターミネーター」シリーズ) 【出演】 サム・ワーシントン(「ターミネーター4」) ゾーイ・サルダナ(「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ) シガニー・ウィーバー(「エイリアン」シリーズ)※15歳のキリを演じる スティーブン・ラング(「ドント・ブリーズ」シリーズ) ケイト・ウィンスレット(「タイタニック」) ウーナ・チャップリン(チャールズ・チャップリンを祖父に持つスペイン人俳優) クリフ・カーティス(「ドクター・スリープ」) 【製作費】4億ドル(約620億円)※中規模の邦画(約5億円)の約100倍 【公開】2025年12月19日 【上映時間】197分 ◆ストーリー パンドラの先住民ナヴィの生き方に共感し、自らもナヴィとなって彼らとともに生きる道を選んだジェイク・サリー。人類の侵略によって神聖な森を追われたジェイクと家族、仲間たちは、海の部族メトカイナ族と共闘し、多くの犠牲を払いながらも人類を退けることに成功した。しかし、そんなジェイクたちが、今度は灰の部族アッシュ族と対峙することになる。アッシュ族は過去に、パンドラの調和を司る神のような存在である「エイワ」に何らかの裏切りを受け、絶望していた。静かに、しかし激しく怒りを燃やすアッシュ族のリーダー、ヴァランに、ジェイクの因縁の敵であり、自らもナヴィとなったクオリッチ大佐が近づく。両者が手を組むことで、ジェイクたちサリー一家を追い詰めていく。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆ロアク 前作で命を落としたネテヤムと、幻想の中で戯れるロアク。力を落としたままのネイティリの姿も含めて、家族を亡くした心の穴が描かれる冒頭は、それとともに、ロアクが今作のキーパーソンである事が記される。前作ではトラブルメーカーだったロアクも、今作ではパヤカンとさらに心を通わせ、仲間との絆を深める。トゥルクンの長を説きほだし、ジェイクのフォローで戦に参加するまでに成長。キャメロン監督が自分の家族を投影したとも語るサリー家の姿は、どこかその若い力に未来を託しているよう。ロアクの成長を見つめながら、これはキャメロン自身が“次の世代に託した映画”なのだと感じた。 ◆ファイヤー・アンド・アッシュ 何よりも本作の強みである映像美。前作で息をのんだ水中の美しさは健在で、キリのクルを通じて光り始めるサンゴの美しさ、ロアク達がトゥルクンのヒレと泳ぐ優雅さに見入る。トゥルクンの長達をジェイク達が説くシーンでは、トゥルクンの野太い声に海面が細かく揺れる緻密さも。再びトルーク・マクトとして空を飛ぶジェイクの姿も壮観で、陸ではスパイダーに植物達のクルが伸びる不思議な描写と、まさに陸海空での映像美。敵船への大量トゥルクン体当たりのど迫力もあれば、本作で特筆すべきは火の描写。ナヴィ達が対峙するシーンでは、彼らの激情に共鳴するかのように炎が上がり、灰が舞う。炎に照らされるヴァランの表情もより不気味で、身の毛もよだつような光の演出が印象的。「火」は憎しみを、「灰」はその後に残る悲嘆を象徴するという監督の狙いは実に身を得ていた。本作の映像美は、ただ世界を見せるためのものではなく、登場人物の感情を代弁するために存在している。 ◆スパイダー スパイダーが精神世界のナヴィ達に迎え入れられるラスト。“君はもうナヴィだ”と、シリーズで初めて人が人のままでナヴィと同調する。思えば一作目で人がナヴィに進化し、2作目で人がナヴィと共存。本作ではナヴィに調和した訳で、スパイダーがシリーズを通して重要なキーパーソンに。劇中でジェイクが語った通り、彼はパンドラを滅ぼす元凶に大いになり得るし、それが次作、次々作におけるターニングポイントになるのは間違いない。一方で、スパイダーを囲んだナヴィ達の俯瞰の画はまるで神経のようで、ラストカットのパンドラの丸い全体像は、その調和の集合体がパンドラなのだと言わんばかり。つまりこの調和が崩れる時こそが、パンドラが滅ぶ時。スパイダーという“人間”の進化は、滅びた地球の二の舞になるのか、それとも希望となるのか。シリーズの行く末から、ますます目が離せない。 ◆評価(2025年12月19日現在) Filmarks:★×4.1 Yahoo!検索:★×3.8 映画.com:★×2.0 #アバター #アバターファイヤーアンドアッシュ #映画レビュー #洋画レビュー #映像美 #SF映画 #ジェームズキャメロン #映画考察 #心を焼かれる映画 引用元 https://eiga.com/movie/87902/ https://ja.wikipedia.org/wiki/アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ