レビュー
2020年86本目は、北マケドニアで最後の養蜂家として活動を続ける女性を追ったドキュメンタリー『ハニーランド』。 ------------------------------------------------------------ 主人公であるハティツェさんは自然と共生しながら養蜂を行うことをモットーにしていて、蜂の生態を知り尽くしています。ですからネットや手袋がなくても蜂と接することが可能なほどで、その度胸や大胆さに度肝を抜かれました。切り立つ崖の上にも平気で登り、断崖絶壁を悠然と歩いていくのです。マケドニアの大地には自然のみ、電気も水道も通っていない僻地でたくましく生きていく彼女に感銘を受けます。 ------------------------------------------------------------ ところが本作、中盤から「マジでこれドキュメンタリー?」と疑いたくなる光景の連続で、隣に引っ越してきた金目当ての野蛮なトルコ人一家がハティツェさんの暮らしをぶち壊していくんです。両者の考え方の違いは確かに資本主義と自然主義の対立を連想させますが、次第にそんな概念にまつわるエトセトラはどうでもよくなり、私の心に残るのは「こいつら不幸になればいい」というストレートな怒りだけでした。 ------------------------------------------------------------ いくら3年間の密着取材を行ったとはいえ、ここまで上手くいくものか?と「ヤラセ疑惑」が一瞬鎌首をもたげる一方、一般人からすれば信じられない過酷な生活に身を埋めるハティツェさんを応援したくなる気持ちもあり、見応えしかない80分です。たとえ作り物であったとしても、知らない世界にスポットライトを当て、彼女の存在を世に知らしめた撮影クルーの功績は非常に大きいと思います。
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