2019年254本目はアイドル少女時代の人気メンバー、ユナをヒロインに迎えて贈るパニックアクション『EXIT』。 ------------------------------------------------------------ 無職のダメ人間ヨンナムと彼の周囲を彩る個性的な家族を描く最初の30分は正直なところ退屈で、ユナの美貌でなんとか画的にモチベーションを保っている感じがします。これに加えて本作では事件のきっかけとなる｢テロ行為｣があまりに歪な描写で、あんなタンクローリー車１台でここまで被害が広がるとは思えませんから、現実味の無さがより際立ってしまっています。 ------------------------------------------------------------ しかし立ち昇る毒煙から逃げるべく、主人公二人が決死の逃避行を繰り広げるようになってからはテンポの良い興奮の連続で、韓国映画の底力をこれでもかと思い知らされます。悲しい話ですけど、今の日本映画に同じ水準のアクションを作る力は無いですね。次から次に迫り来るピンチを作り出し、それをどう乗り越えていくかを｢ビルの屋上｣という非常に限られた舞台設定でここまでリズミカルに描いて見せるとは大したものです。 ------------------------------------------------------------ ヨンナムを取り囲む大家族を早い段階で｢傍観者｣と位置付け、ヨンナムとウィジュの二人に焦点を絞る思い切りの良さもホントに英断。一方で彼が唯一の特技とするボルダリングのシーンは、緊迫感を演出するために時間をめちゃくちゃ使ってじっくり撮られてますし、どこに力を入れたら人を惹き付けられるかを完璧に分かってる映画です。