レビュー
Izumi

Izumi

5 years ago

4.5


content

ミッドナイトスワン

映画 ・ 2020

平均 3.9

たまたま新国で初めて観たバレエがロメジュリでそれからバレエが好きになったという監督の話に惹かれ、またバレエシーンは吹き替え無しとのことで興味が出て観てきた。 小さな頃に行った海で、どうして海パンを履かなくちゃいけないのかしら、私もスクール水着がいいと思ったという凪沙。内面の性に抗う身体との差の痛みをずっと背負ってきて、他人のことなんて考える暇はなかったろう。そこへポンと現れた一果は、か弱く、同時に芯のある強い少女であり、凪沙の生き方まで変えていく。 主演二人だけでなく、周辺の人々の描き方がいい。坂を転がり落ちるような底辺の悲しさ、あるいは裕福なのに満たされない少女の空虚さ。説明的なセリフは一切なく、少女たち含め各々の役者たちの目の表情が雄弁で素晴らしい。 …そしてガチのバレエシーン!2幕のオデットのバレエーションなんてドストライクの豪速球。先生が言うように(またこのバレエの先生がいいんだな~)なかなかコンクールで踊られることはないのでは。でもそこは映画だし、そして一果が肝っ玉の座った子であることの証左でもあるのかな。歌うことと踊ることは人間の根源的な部分だというけれど、言葉なんてなくても踊りですべて伝えるような一果のオデットは最高でした。 冒頭の凪沙たちの、たしかに少しシュールだけど一生懸命な四羽(相当練習したに違いない…)とオデットが、環になってタイトルに繋がる。重い、重いテーマだけど、ステキな映画でした。