レビュー
「イヤミス映画の新たな傑作、誕生」 タイトルの通り、登場人物ほぼ全員が愚行= 愚かな行為をするクズばっかりなミステリー。とにかくひたすら重い気持ちになるし、胸糞シーンばかりなのでそれが受け入れられるかどうか。登場人物が殆ど喫煙者なのでやたらとタバコ吸うシーンが多い、派手さを極力排除した静か過ぎる演出など、とにかく重さや精神的なダーティーさが作品全体に漂う。 それを踏まえた上で言うと、面白かった。まず最初のバスシーンでこの映画はヤバいと確信したわ。主人公の田中が老人から席を譲れと言われた腹いせに嘘の骨折演技で恥をかかせるとか、コレだけで田中が嫌な奴だと分かる。だが自分はこの手口今度使おうと思っている(←ゲス発言)。 主人公の田中が一家殺人事件の関係者に証言を聞いて回るうちに段々と真実が浮かび上がる構成なんだが、関係者達のキャラがリアルで、こういうややこしい関係とかありそうと思わせるのが上手い。まあどいつもこいつもクズなんだが、中でも相当にクズなのが小出恵介演じる田向なんだが、あたかも現実の小出恵介の境遇と被ってしまってるトコがあるのがなんとも皮肉。予言キャスティング。 田向一家殺人事件と妹の育児放棄、2つの事柄は一見バラバラのように見えるが、中盤あたりで1つになる。犯人はそこでなんとなく分かっちゃうのが残念かな。しかし、告白するシーンは独り言になってるので、劇中の登場人物達には分からなく、我々視聴者だけに真実が分かる演出は上手い。 とにかく最初から最後まで救いがないイヤミスサスペンス映画。直近の似たような作品だと「怒り」を思い出すが、あれはまだ救いがある方だが、この作品は本当に救いが無いので要注意。ちょっとどうなのとか思う部分もあるにはあるが、それも含めてイヤミス映画の傑作。2度は見たく無いが。 ----------ここからネタバレ---------- 宮村が殺されたシーン、突然過ぎてビビったし違和感があったけどまあ妹が悪く言われたコトに腹立ったから殺したと強引に解釈したが、ネット解説を見てたら田中は妹が犯人てコトを知っていて、それを知るヤツがいないか探してた、ってコトらしい。だから真相に近付いた宮村が殺された。1年たった今事件を再度調べたことの理由も明かされなかったのもモヤモヤしてたがコレで納得。 稲村の子供の本当の父親は田向だったんだろうか。意味深に似て来たでしょとか言ってるしさ。そう思うとまた1つ胸糞シーンが増える。
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