レビュー
てる

てる

5 years ago

4.0


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LION/ライオン 〜25年目のただいま〜

映画 ・ 2016

平均 3.8

日本に住んでて良かったとつくづく思った。30年前の話しとはいえ、こういうことが起こってしまうというのが信じられない。日本では迷子になろうと警察が飛んできて、家に帰れる。知らない電車に乗ろうと他の国に行き着くことはない。当然、ストリートチルドレンになることもないし、人身売買をされそうになることもない。しかし、それが当然として、よくあることとして、罷り通ってしまう国があり、そういう社会情勢に恐怖を抱いた。 このサルーという少年はとてつもなく幸運だった。人身売買から逃げたりと強い行動力があったのもある。小さな子どもなのに、利用しようとする大人に鼻がきき、さらに逃げるという選択肢を選べる彼だからこそ様々な危機から逃れ、本当の家族に会うことが出来たのだろう。しかし、行方不明になる子どもの中で、生きて家族の元に戻れる子が何人いるのだろうか。それを考えるとやはり彼は幸運と言える。 前半のあの子役のお芝居にはっとした。この年代でよくこんな芝居ができるなとつくづく感心した。この作品を構成する上で多くの役割を果たした彼に称賛を送りたい。 後半はなんだかもどかしい作品だと感じた。全く違う環境で生きているサルーに違和感を感じる。肌の色が違う。オーストラリアという国でもなんだか浮いている。その浮いている感じがサルーの心情と重なっていた。 ただ、後半に関しては、あまりセリフも多くなく、心情をひたすら撮っていたようだった。デーヴ・パテールが上手かったのもあるのかもしれないが、セリフのない静かな顔のよりばかりの画で、退屈になりそうなシーンの連続なのに、飽きさせないのはカメラマンの手腕だ。話の内容は、あのダサいサブタイトルのせいで全てが知れているわけだけど、それをここまで面白くできるのは驚きだ。映像の奥深さを改めて認識した作品だった。