レビュー
エミール・クストリッツァが製作・監督・脚本・主演を務めて製作された2016のセルビア映画 ・ 鬼才エミール・クストリッツァ監督の9年振りの作品。「アンダーグラウンド」は個人的にオールタイムベストな作品なので、クストリッツァ監督へのリスペクトは計り知れない。世界三大映画祭で愛される監督の作品だから楽しみなのは当たり前。しかも、他の監督の作品に俳優で出演したりはしてたけど、自分の作品に主演するのは初めてだからどうなるか興味津々だ ・ 戦時中にロバに乗って戦地へミルクを運ぶ男性と他人の花嫁とのロマンス、逃避行を描いた作品なんだけど、そこほ鬼才クストリッツァ作品だから、言葉で説明するのは難しいストーリー展開だ。いつも通り動物がたくさん登場するメルヘンチックな感じは監督作品らしい。ロバやハヤブサ、アヒル、鶏、ヘビ、熊などと絡むシーンがあるが、このご時世にCGを使ってないというからクストリッツァ監督のこだわりを感じる ・ 主人公コスタが世話になってるうちの花嫁を演じるのがイタリアの至宝モニカ・ベルッチ。いやいや50代で花嫁役って無理があるだろ…と思いきや色気あるし美しいままなんだよなあ。この人は宇宙人なんじゃないかな。全く歳を感じない。クストリッツァ監督が60代だからキャストの平均年齢がやたら高齢。でも10代のキャストでまとめた日本のつまらない恋愛映画とかよりはるかにいいなあ。人はある程度歳をとらないと味が出ないね ・ クストリッツァ監督作品では定番のジプシー音楽も大好きだ。ジプシー・ブラスの陽気なリズムは作品に華を添えてるし、シリアスなシーンすら面白く思えてくる効果がある。もちろん陽気な客ばかりではないが、自らがミュージシャンとして世界ツアーをしている監督だからこそ、音楽へのこだわりは強いはず。クストリッツァ作品は音楽と一体化した世界観がたまらないのだ ・ メルヘンチックでロマンチックでシュールな世界観。時にコメディ、時にシリアス。破綻しそうな展開。見る人によっては破綻していると言っていい物語。これこれクストリッツァ節。彼の作品は寓話という言葉が1番よく当てはまる。でも小説や絵本では表現しきれないから映画で寓話を語る。多くの人に響かないかもしれないけど、戦争を憎み、音楽と動物、人を愛するエミール・クストリッツァ監督の作品はこれからもずっと好きなことは間違いない
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