レビュー
消し去りたい記憶を消す。その記憶を消して本当に良いか悪いか判断することは、人間には出来ないと思った。 勿論性暴力の被害、戦争、逆縁の不幸、悲惨な事件事故など気が狂うほどの悲しみや、長く苦しみが消えない辛いことを記憶から消し去ることができるなら、どんなに良いだろう。だが誤解を恐れずに言うなら、それは加害者を擁護することにならないか?被害を無かった事に出来るなら、少々のことは許されると勘違いさせないだろうか?絶対許さない!悪いことは悪いことなのだから。被害者は生きながらずっと、苦しみから解放されないのだから、決して許してはいけない。無かったことにはしてはいけないのだ。 それに、記憶屋も人だから、自分の感情は必ず入る。100%完璧な人はいないのだから、エゴも入りうる。この映画のように。人間は弱い。記憶を操作出来るなら、自分の都合のいいように記憶操作をしたくなる。 また、当人の記憶を消しても、周りの人びとの苦しみは消えない。全員の記憶操作など不可能だ。 記憶を消しても、時間が経てば、記憶を消したことを忘れるのかもしれない。映画の中で、フラッシュバックする記憶。それも不幸だ。 記憶屋が必要ない世界でありたい。
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