レビュー
dreamer

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3 years ago

4.5


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がんばれ!ベアーズ

映画 ・ 1976

平均 3.3

"寄せ集め少年野球チーム・ベアーズのおかしくもファイトいっぱいの感動物語 「がんばれ!ベアーズ」" アメリカ人が大好きなスポーツ----"野球"と、アメリカ人が大好きな人間----"子供"を組み合わせて作った愛すべき映画、それがこの「がんばれ!ベアーズ」という作品です。 アル中のプールの巡回掃除人のモリス(ウォルター・マッソー)は、かつてマイナーリーグの投手をしていた経験を買われ、市会議員のボブから息子が所属する少年野球チーム、ベアーズのコーチを依頼されます。 とにかく、他のチームから入団を断られたボブの息子のために作られたベアーズは、落ちこぼればかりで、まともに野球を出来る子供がいませんでした。 当然、このベアーズは試合をしても、いつも負けてばかりで、モリスもやる気を失くしていましたが、ボブがチームの解散を決めた事からモリスは発奮し、チームの立て直しに着手していく事になります。 まず、かつての恋人の娘で12歳になるアマンダ(テイタム・オニール)をスカウトしますが、このアマンダの投げる変化球の凄い事。 続いてモリスは嫌われ者の不良少年ケリー(ジャッキー・アール・ヘイリー)をスカウトしますが、このケリーがまた凄い強打者。 ビゼーの「カルメン」に乗って展開する野球の試合で、どう見ても野球のセンスのないベアーズの男の子が、外野フライをキャッチするところなど、その"アメリカ式楽天主義"にはただただ脱帽するばかりです。 ベアーズの子供たちが、どうしようもない落ちこぼれで、ある意味、欠陥児童ばかりなのが実にユニークな設定だと思うし、おまけに天才的な女の子の登場!----加えて、エスニックと言われる少数民族が増加して来たアメリカ社会を反映して、登場して来る人種も種々雑多。 このチーム内では、まあまともなひとりが仲間を見渡して、「なんてひどいチームなんだ、ごちゃ混ぜのチンケな野郎ばかりじゃないか」と、かなりシビアな悪態をついてドキリとさせるシーンなどもあって、大人が言うと、トゲトゲしくなる悪態も、子供が言うと何となくユーモラスに聞こえてくるのは、やはり子供であるが故の特権だろうという気がします。 このおよそ迫力のない子供たちが、アル中のポンコツ・コーチ、モリスの指導のもとに、「ヤンキース」とか「アスレチックス」といった、いかにも強そうな名前のエリート少年野球チームに勝負を挑んでいくのですから、面白くならないはずがありません。 といっても、このベアーズはムキになって勝とうとする"スポ根主義"ではなく、あくまでもゲームを楽しもうという"遊戯精神"を大事にするのです。 そこがこのベアーズのいいところで、途中で、優勝に目がくらんでガツガツし始めるコーチに、子供たちが反乱を起こすところなどは、感動的でグッとくるものがあります。 子供たちにとっては、「競争」よりも「共生」のほうが大事なんだろうと思います。 みんなが四番でピッチャーではなくても、七番がいたり、外野がいたり、"その他大勢"がいるほうが、チームはずっと楽しいものになるんだ----という"チームワークの思想"なのだと思います。 そして、この映画には、もうひとつアメリカ人の大好きなものが出て来ます。 それは、"郊外の清潔な小さな町"です。 大都会でなくても、荒野でなくても、芝生のあるマイホームが並んでいる町で、町はずれに子供たち用の野球場があるのです。 アメリカ人がどんなにこの"郊外での生活"が好きかは、昔のTVドラマ「パパは何でも知っている」や、アニメの「チャーリー・ブラウン」や、映画の「E.T.」なども、"郊外の小さな町"が舞台だった事からもわかります。 アメリカ人が大好きなものが三つも揃ったこの映画は、だから、"ひとつのユートピア物語"だと言えるのかも知れません。 監督は、「白銀のレーサー」「候補者ビル・マッケイ」のマイケル・リッチー監督で、この映画が彼の代表作とも言えるほどの素晴らしい演出ぶりで、この映画はその後もシリーズ化され、また、この映画の設定や内容が、その後に作られた野球物の映画の「メジャー・リーグ」や「プリティ・リーグ」に大きな影響を与えたのは有名な話です。