レビュー
cocoa

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2 years ago

3.5


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ファースト・カウ

映画 ・ 2019

平均 3.4

大好きなケリー・ライカート監督の話題作「First Cow」を鑑賞。 1820年代、西部開拓の時代。 オレゴン州の村では先住民と入植者が共存しているようだった。 その地に行き着いた料理人のフィゴウィッツ…通称クッキー(ジョン・マガロ)はロシア人に追われていた中国人の移民キング・ルー(オリオン・リー)を助ける。 その後2人は行動を共にし、金持ちの仲買商の所有する牛からミルクを盗む。 ミルクを使ったドーナツが評判になりお金を貯める2人。 しかし盗みがバレて仲買商たちに追われてしまう…そんなアメリカンドリームを追いかけた2人の男の話です。 あぁ、やっぱりライカートらしい作品。 男2人の友情を描いた過去作『オールド・ジョイ』よりもさらに深い絆が描かれていた。 最初に二体の人骨が発見されるシーンを途中何度も思い出してしまったけど…。 雇われて食料調達していたクッキーがキノコを採りながら裸同然のルーを助ける。 クッキーは穏やかで情に厚い。 ルーに服や食べ物、飲み物を与え、見つからないように荷車に隠して移動する。 一度は別れたクッキーとルーは酒場で再会し、ルーの小屋で暮らすようになる。 常にビジネスを考えるルーは中国人らしく稼ぎに集中する。 それは危険も伴うが、開拓時代に必要な商魂たくましい性格。 (だからいろんな人間に追われているけど) 夜中に仲買商の牛からミルクを盗む2人。 乳を搾るクッキーは牛に優しく話しかけ愛情たっぷりな様子。 「やあ、こんばんは、また来たよ」と話しかけながら搾乳。 後に牛が仲買商よりもクッキーに懐いている時はハラハラしてしまう。 (この牛、瞳がとっても愛くるしかった) 盗みがバレて仲買商たちに追われるとルーは川に飛び込み、クッキーは森に隠れる。 本能的に2人の違いが行動に表れるシーンだった。 クッキーは崖から落ち頭を損傷。 また2人で行動するが具合の悪そうなクッキー。 草地に倒れこむように横になると「おれがついてる」とルーも並んで横になる。 このシーンは想像通りで冒頭のシーンとリンクする余韻たっぷりな終わり方でした。 たくさんの未開の土地や森林地帯。 牧歌的な音楽も相まって、自然たっぷりな背景でクッキーとルーは確かにここに生きていた。 200年もの歳月が過ぎて、並んでいた二体の人骨が何だか愛おしい、そんな作品でした。 ライカート監督にはこの路線を突き進んでほしいです。