正直、なにも期待しないで見始めました。
原作読了、中国ドラマ版は中文オンリーと日本語字幕で2週する程度には見たので、多少はなんかいってもいいよね?という立ち位置。
結論からいうと、想像の5倍くらい面白かった。原作もドラマも知らない人にとって、この映画がどう見えるのかはわからないが、すべてを知ってる立場からすると「よくぞここまで翻案しきったな」という感慨が深い。
原作は文庫本2冊、ドラマは1時間×12話とい長さ。それを2時間程度の映画にするというのだから、脚本家は相当な手腕を求められたと思うが、物語のコアの部分をきれいに抽出して物語として破綻がない枝葉の大胆な剪定を行っていたと思う。お見事でした。
映画の話題度からしたらさしたるものではなかったと思うけど、岡田将生さんを筆頭に実は相当ビッグな俳優陣がズラリで、この緊張感溢れる物語を紡いでくれた。特に子役さん3人はお見事。ドラマ版(バッド・キッズ)の主人公たちを演じた役者さんと同じ雰囲気を持つ役者さんを良く見つけてきたなと言うw
舞台を沖縄にしたのは大正解だと思った。ドラマ版も南の雰囲気を色濃く漂わせる背景だったこともそうだが、沖縄という土地が抱える様々な問題を背景にしての物語にしたことで一定の説得力を持たせる効果があった。個人的には殊更にエモい感じの色見にしたのはやりすぎじゃね?という感覚だが、これに関しては好みだと思うので、単に私の口に合わなかっただけ。
舞台が日本になり、登場人物が日本人になることで、様々な改変が加えられているが、そのどれもが原作(小説もドラマも)に対するリスペクトが感じられ、原作を愛する私も大満足。人物名、めっちゃ頑張ったな……というw
ストーリー自体はどちらかというと原作依拠。ドラマ版は相当な制約がある中で精一杯原作を活かしたものだったが(別物とまではいわないが、かなり違う)こちらはそういう制約はないので、原作に寄せてきた。日本を舞台に日本人が演じる物語にしてみると良くわかるが、原作の普遍性……おそらくこれは舞台をヨーロッパやアメリカ、或いはアフリカにしてもたぶん使える。改めて原作の持つ力に気づかせてくれたことも感謝したい。
最初にも書いたとおり、タイトルからして期待できない感じだったので、映画館には行かずに配信で見たが(レンタルなので金は払ったよw)映画館で見ても良かったな~と思った。美しい絵作りを大画面で見てみたかったかもしれない。
最後に一つだけ。原作にもドラマにもなかった結末にしたのは、両方見てる人へのサプライズだったんですかね? 個人的にはあまり好きな終わり方ではなかったので、そこまで良かったのにぃぃぃ!とやや残念に思った。(これが好きという人がいたら申し訳ない)とはいえ、めっちゃ頑張って作ったのは感じられる名作で、これがあまり話題にならなかった邦画業界は酷いなと思った。