レビュー
星ゆたか

星ゆたか

4 years ago

3.0


content

少年の君

映画 ・ 2019

平均 4.1

2022.6.23 「いじめ問題」「学歴至上主義」 「格差社会の闇」などのテーマに基づき、中国の人気トップアイドルを起用し制作され大ヒットした映画。 物語は同級生の自殺をきっかけに、いじめ始められる大学受験間近な娘チェンと、ストリート・チルドレンの青年シャオベイの、みずみずしくも涙ぐましい関係を中心に進められていく。 二人の関係を物語る劇中の言葉。『ドブに住んでいても星空を見つめる者はいる』(オスカー・ワイルド書) チェンの通う進学高校でその自殺がある訳だが。 まず教室の生徒の各人の、机の上の教科書などの積み上げの量がスゴイ! 大学入学試験に向けて、学校でも『必勝!』『頑張ろう!』と教師も生徒も拳を挙げ唱和する。過熱した学歴尊重ムードの異様な光景だ。 そんな息詰まる学校生活の中での《いじめ》  金持ちの女の子をリーダーとする三人組。一見ヒロインより可愛い容姿の、リーダーの彼女の陰湿で執拗な振る舞い。いじめを楽しんでいる。人が一人死んだばかりなのに、警察の調査が入ったため、何をチクッタ?と迫る。この金持ちの女の子は、多分親からも周りからもチヤホヤされ、人の心の痛みなど測りしる経験がないのだろう。学校内外で体をコズイたり、スマホでイジメ拡散したり、家の壁にイタズラ紙を貼り出したり歯止めがきかない。家庭から学校からの既成の秩序に息苦しくなり、刹那的快感を得るためのイタズラという所か。 またイジメられているチェンに同情的な、クラスの男の生徒もいて、たまに声をかけてくる。『あと少し、受験が終わるまでの辛抱だ』チェンと同じ、多分合格できる優秀な子であるらしい。イジメをやめさせようなどと積極的に動きはしないけど。 そんななか、学校帰りに暴行を受けている青年の現場にふれ、知り会うことになったシャオベイ。 子供の頃両親に見捨てられ、掘っ立て小屋のような所で一人で暮らしている。何か規制スレスレの悪事を兄貴分や仲間と共に行い、暴力ざたも日常茶飯事。そんな彼にチェンはいじめからのボディガードを頼む。 この映画では、“いじめ”に対して学校の教師、生徒の親、取り締まりをする刑事と三方から描かれる。 教師はすぐ生徒に報告するようにと。しかし最優先すべきは受験。何が生徒一人一人の心の求めなのか配慮できない。 親側はチェンの片親・母は出稼ぎで普段一緒にいない。大学出させる為に必死。ただその思いは貧しいながら付する。 または金持ちの親などは型通りの接触で、子供たちの心の隙間に気づいていない。何かことが起こって慌てふためく。 そして中でも一人の若い刑事が、この“いじめ”問題に親密に心を配った。それは先輩刑事や妊婦の女性刑事より、入念にどうすれば一番いい解決方法が見いだせるかをあたった。自分が未来に向けて歩み始めた、彼らと年齢が近いからだろう。 こういういわれなき理不尽な“いじめ”にあった時、私ならどうするだろうか?と考える。映画を見てて思わず、抗戦態勢の握りこぶしにいる自分だ。ただ現実にはすぐやられちゃうかも。 声を出し誰かに助けを求める。改善策を図るか。グット我慢する。相手を理解しようとする?。それとも反撃は防御の最強手段にでるか。 そして、いじめの三人組は停学処分の身になり、さらに同伴する仲間を増やして、そのいじめがエスカレートしてゆく。そのことで事態はとんでもない結末に突き進んでいった。 映画の最後。中国の“いじめ”問題の最近の取り組み状況のテロップが流れる。やや社会主義国家の啓蒙思想ブロパガンダ的な印象も受けるが。(主演俳優の声明など) そこで、社会や法律・学校や家庭の身近な問題として、何が私達に求められているのか?。 やはり私は心の教育だと思う。 情報の伝達ばかりスピーディになった今日だが、その中で失ってはいけないものは。 大切な全てのものに、個の存在の有意義さに、人としての本来の思いやりや心配りを忘れてはならないのだと思う。 それは日々の暮らしのなかで、社会で関係する人達と共に、少しずつ一つずつ意識して身につけてゆくべきものなのかもしれない。 この映画観賞はそういう気づきを、今回もまた与えてくれた。