レビュー
なんてつまらない映画なんだ。と始めの1時間は思った。わけわからん謎の世界観でつらつらとセリフを並べていく。そのセリフの1割も頭に入ってこず、松岡茉優の可愛さだけで耐えたが、ついに我慢できず、停止ボタンを押して寝てしまった。次の日、嫌々ながら再生ボタンを押した。およよ? こんな話しになるのか。謎の世界観にもちゃんと意味があったのだとわかると急に興味が湧いてきた。そうそうバカにできたもんじゃない。そこそこ面白いではないかと評価を見直した。 拗らせた女が変な男と上手くいく話し。端的にはそんな話しだ。この拗らせ女子って本当にいそう。勝手に盛り上がって、急に冷めて、突然へそを曲げていなくなる。誰にも傷つけられない都合の良い世界で小さくまとまっている。子どもならそれでいい。でも、そうじゃない。色んな人と繋がって、ぶつかって、上手くいかないことだらけで、ボロボロになる。それが、現実なのだ。放っておいても誰かが話しかけてくれて、誰かが愚痴を聞いてくれてなんて、そんな都合の良いことはないのだ。きちんと友人を作って、その友人に話しかけられて、愚痴を聞いてもらって、そうやって順序良くやっていかないと物事は上手くいかないのだ。彼女は幼すぎた。でも、そうやって傷ついて、傷つけられて、人は成長していく。あの変な男も、気持ち悪いけど、素直で一途で良い男なのだ。そういう良いとこを少しずつ見つけて、人と人とは繋がっていくんだね。 綿矢りさの作品ってどれも作風が違う。でも、共通してるのは、人間の弱くて情けないけども、愛しいとこを描いているとこだと思う。今回の作品は生の女を描けているような気がする。この作品を映像化できたのは、女性の監督だからこそなのかもねぇ。
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