レビュー
【音楽力のうねり】 音楽一言の映画。使用楽曲の多さはもちろん、MVを作るワクワク感、さらには音楽を通して人間関係まで改善されていくそのストーリーに、音楽の力のうねりのようなエネルギーを感じる。 ◆概要 「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、自身が脚本・製作・監督を務めた。出演は『トランスフォーマー/ロストエイジ』のジャック・レイナー、『ボヘミアン・ラプソディ』のルーシー・ボーイントンら。デュラン・デュラン、ザ・クラッシュなど80年代ブリティッシュ・ミュージックが多用される。 ◆ストーリー 1985年のダブリンを舞台に、不景気や転校でどん底にいた男子高校生の人生が、一目惚れした女の子の気を引くためバンドを結成することで変化していく様子を描く。 ◆感想 ジョン・カーニー監督の真骨頂、BGMのベースに映像のマジックが乗り、音楽の魅力にのめり込む、音楽好きにはたまらない描写が満載。『ラ・ラ・ランド』や『ザ・グレイテスト・ショーマン』に代表されるミュージカル映画。でもMV作りがこの映画の軸になっていることで、音楽を作る楽しみ、映像を作る楽しみ、ひいてはそれに関わる人間関係が見やすく構成されていて、それらとは異なる別ジャンルのミュージカル映画になっていると思う。音楽がこれでもかと多用されているし、もはやバックグラウンドではなく音楽がフロントであり主役なので、音楽好きにはたまらない。特に80年代のポップミュージックが好きなら、この映画にどハマりする事間違いなし。 ここまで音楽に徹している映画も珍しいと思う。音楽マニアの兄との兄弟愛、音楽で繋がるバンドメンバー達との絆、ラフィーナとの恋、そしてコナー自身の人間性の成長ぶり、全てが音楽を起点にしていて、音楽が根底であり中心。「音楽っていいな」と自然に思えてくる。いじめっ子すらメンバーに加えてしまう展開には、音楽の力のうねりというか、無限性がよく表現されていたと思う。 なので反面、どうしても普通の映画の目線で入る序盤には、次々と集まっていくバンドメンバーやラフィーナとの出会い、人物背景が描かれずに進むそのテンポの速さについていきづらい。ただ次第にこの映画の直情的見方が分かってくると気分が乗ってくるというか、いわゆる“考えるな、感じろ”なスタンスが正解な映画で、かつそれに入ってしまえば前述の通り、グッとジョン監督ワールドにハマる映画だったと思う。
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