レビュー
2019年114本目はわずか22歳で監督・脚本・製作・演出の全てをこなした奥山大史氏のデビュー作『僕はイエス様が嫌い』。 各国の映画祭で絶賛を受けたことから、日本に逆輸入で公開が決まったまさに鳴り物入りの一作なんですが、これが噂に違わぬ面白さでした。是枝監督に比するというのは流石に言い過ぎですけれども、子どもの自然な撮り方含めそこかしこに迸るセンスを感じることは確か。 ほぼほぼ動かない固定視点のカメラ、祖父母の実家に帰省したときによく目にした古い箱形テレビを思わす画面サイズ、ここぞというタイミングで空間を上空から切り取るドローン撮影など、あちこちで光る演出も見ものです。キリストが彼の目の前に現れるようになってからはユーモアを交えた作劇にシフトするかと思いきや、突如として遅い来る猛毒の刃に一瞬ヒヤリとさせられますし、前半の穏やかな世界観とのギャップが生み出す効果をよくわかってるなぁと。 宗教がテーマの作品であるだけに「そこ」に行き着くことはある程度予測済みではありますが、ユラの前に現れたイエスの真実や、冒頭そして中盤に登場する「穴の空いた障子」など考えを巡らせたくなるメタファーに満ちており、 これまた楽しみなルーキーが邦画界に現れたものです。 しかし、今回の成功で各社スポンサーが奥山さんに飛び付き、金と規約で縛られて…なんてことになりそうでホントに嫌ですけどね。
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