レビュー
インドネシアの歴史や誰もが見過ごしてきた後ろ暗い時代背景を浮き彫りにするドキュメンタリーで、これは最早映画の枠組みを超えた歴史的資料として、非常に価値ある一作だと思います。 罪悪感や責任感皆無で自分達のやって来たことが正義だと信じるこいつらの話振りは、呆れを通り越して怖気がするというか。しかもその行為を国がニュースを通じて誉めそやすのですから…信じられない光景です。ただ、戦時下の日本でも軍部独裁のもと似たようなことをやってきたわけで、インドネシアだけに偏見を持つのは絶対に間違いです。 一方でオッペンハイマー監督が加害者に演技をするよう申し出てから、演技を通じて彼らが自らの行為を見つめ直し、そして結末に至るまでの流れが妙に綺麗すぎる気がしてなりません。ドキュメンタリーを見る以上、「これってどこまでが本当なの?」問題は常につきまといますが、本作ではそれがかなり顕著でした。 それに監督のしてることは被害者感情を無視した傲慢の極みだと思いますし、映画の向こう側に成功したいと願う作り手の手段を選ばないエゴが透けて見え、私はあまり好きになれない一作です。
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