レビュー
前半はグロいしとにかく帰りたかった。後半からが見せ所。 演出が良い。吉高由里子は赤いコート、松山ケンイチは黒いコートを着て出会う→松山が吉高に真相を伝えた日、吉高のコートは赤と黒の混ざった模様→さらにその次吉高は黒いコートを着ていて、松山が吉高に赤いマグカップを差し出す。お互いがお互いの「ユリゴコロ」になった瞬間が色彩で描かれている。 「ユリゴコロ」とは言い換えればその人が生きる小さな物語のようなもの。 例えばブランド品は誰にとっても価値があり、そこにはある種の大きな物語がある。それに対し小さな物語は一般的に価値はないけれど自分にとって大切なもの。国家という大きな物語が崩壊した現代の私達は小さな物語にすがるしかない。小さい分、「私だけ」感が生じてしまう分、大きな物語よりも強大で恐ろしい。 誰もが物語=ユリゴコロに苦しみ、勇気付けられる。そんな普遍的な私達の日常を「殺人」という非日常で描いていた。 美しくなんかないけど少しだけ背中を押されるような感覚。俳優一人ひとりの演技力も高く、映画館で観て良かったと思える作品でした。
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