レビュー
ジョン・カーペンター監督が1951年に公開された『遊星よりの物体X』をリメイクしたSFホラー。 約40年前の作品にも拘わらず、今観てもクリーチャー造形のインパクトは強烈。特殊メイクアーティストのロブ・ボッティンがCGを使わずに製作したらしいが、その「CGを使わない」というのが功を奏しており、逆にリアリティーがある。おそらくこの時代に変にCGを使っていたら、安っぽさが目立って、今じゃ観てられないクオリティーになっていたと思います。 そして、その視覚的なホラーに加えて「誰が寄生されているか分からない」という心理サスペンス的な要素までも盛り込まれているのが本作の凄いところ。「お前が寄生されているんじゃないか」と互いに疑心暗鬼になることで、普通ならダレがちな会話シーンでさえも独特の緊張感が保たれている。 ただ、確かに人体がグロテスクなエイリアンへと変形する映像の見応えは抜群だが、そのエイリアンがあんまり襲ってこないのが少し残念。特に暴れたり攻撃したりするわけでもなく、意外とあっさり火炎放射器で始末されちゃう。そこのハラハラ感はちょっと弱かった気がします。 それでも、傑作であることには間違いなく、「無症状でも感染している可能性がある」という性質を持つコロナウィルスが蔓延中のこのご時世と重なる部分もあり、まさに今観るべき映画だと思います。
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