
てっぺい

雪風 YUKIKAZE
平均 3.2
2025年08月15日に見ました。
【受け継ぐ映画】 敵を殺めるのではなく、仲間を“生きて還す”。盲点だった史実の精神が、力強く受け継がれていく描写が胸を打つ。その受け継がれていく先は、ラストで想像もしない意外な人物に向いていく。 ◆トリビア ◉#100機に囲まれた雪風 100機の敵機が迫る──それでも艦長は、煙草に火をつけた。 実在の雪風艦長の手記は、大和護衛の最中、 空から大編隊に包囲された死線を生々しく記す。 ▷「乗員の士気が落ちないよう、私は悠然たる素ぶりで煙草に火をつけ、戦闘中にスパスパやりだした。部下たちは“おっ”という顔をしている。だが、こっちは一世一代の大芝居だ。 間もなく僚艦が次々と轟沈。雪風はスピードを変え猛進した。まさに食うか食われるか──。 不思議と気分は落ち着いていた。生きて帰らぬ覚悟の出撃だったので、生と死の境地を超越していたのかもしれない。」 (https://gendai.media/articles/-/143834) ◉#奇跡の“不沈艦” 史実として「雪風」は16回以上の主要海戦を戦い抜き、“終戦まで無傷で生き残った唯一の駆逐艦”。戦後13,000人以上の兵士や民間人を国外から日本へ帰還させた“奇跡の駆逐艦”としても知られる。 (https://vod.company/archives/1556) ◉#生還絶望の弾痕 竹野内豊は、サイパンの日本陸軍潜伏地で、建物に残されたおびただしい数の弾痕を目の当たりにし“これは生き延びられるわけがない……”と絶望した経験を語る。 ▷「あの時、目に焼き付けた衝撃を気持ちのどこかに置いて、軍人役に挑んでいたと思います。」 (https://www.leon.jp/peoples/297554) ◉#80年受け継がれた号令 竹野内豊は役作りのため、旧海軍兵学校や横須賀基地を訪問し、艦橋、いわゆる操縦室で、実戦さながらの訓練の様子を見学。 ▷「号令をかけるときの口調やイントネーションは戦時中から受け継がれているということで、演じる上で大きな参考になりました」 (https://www.tokyoheadline.com/812484/) ◉#戦場の裏のぬくもり 田中麗奈は役作りにあたり、海軍の父を持つ子どもの視点の日記や資料を読み込んで、「家族の日常こそが支えだった」を心に確認しながら演じたと語る。 ▷「一人ひとりの『人間』というものが体現されています。戦場で戦う様子に加えて、人々の、血が通った背景を観ていただきたいです」 (https://grapee.jp/2022918) ◉#想像を絶する艦長の重圧 竹野内は、寺澤艦長を演じるにあたり、その武士道の精神を尊重。最前線で日本を守る駆逐艦の艦長の責任の重さは「想像を絶するものだった」と語る。 ▷「(乗員だけでなく)その家族や友達、大切なすべての人たちを“守らなければならないという重圧”を常に意識して演じていました。」 (https://www.leon.jp/peoples/297554) ◉#戦場の裏で命を守り抜く 玉木宏は、雪風が沈没した艦船の乗員救助も担った事から、作品内では「目の前に戦争がある」と言うよりも「背景に戦争がある」、命をどう守るかという視点を重視しながら撮影に臨んだと語る。 ▷「(脚本から)「生きること」「生き抜くこと」を強く感じましたので、それを大切に演じました。」 (https://www.biz-s.jp/tokyo-kanagawa/feature/archive/tamakihiroshi_202507/) ◉#実物大艦体セットのリアル 平塚市の海岸に駆逐艦の実物大ロケセットを製作。艦内の狭い空間での生活感、戦闘時の緊張感、そして海上での壮大なスケール感まで、リアルな映像を約一ヶ月かけて撮影した。 (https://www.zubazubao.com/yukikaze-syoukai) ◉#奇跡と死神を背負った駆逐艦雪風 駆逐艦雪風は、敵の機雷に触れても爆発せず、弾薬庫を直撃した爆弾もロケット弾もすべて不発。スコールに救われたこともあった。一方で、近くの艦は次々と沈み、生き延びた雪風は「死神」とも呼ばれた。 (https://magmix.jp/post/312087) ◉#泳ぎが得意ではありません 早瀬幸平(玉木宏)を海に送り出す際、井上(二等水兵/奥平大兼)が静かに告げた一言──「先任は泳ぎが得意ではありません」。當真あみは試写でこのシーンに涙がこみ上げ、「一番つらかった。妹として見ていて。泣きそうになった」と語った。 (https://www.youtube.com/watch?v=_WQZ3PO_CmY) ◆概要 太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」の史実に基づいた物語。 【脚本】 長谷川康夫(「空母いぶき」) 【監督】 山田敏久(「空母いぶき」助監督) 【出演】 竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、藤本隆宏、三浦誠己、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央、田中麗奈、益岡徹、石丸幹二、中井貴一 【主題歌】Uru「手紙」 【公開】2025年8月15日 【上映時間】120分 ◆ストーリー 太平洋戦争下、数々の激戦を最前線で戦い抜き、ほぼ無傷で終戦を迎えた駆逐艦「雪風」。軽量で機動性に優れていることから、艦隊の先陣を切って魚雷戦を仕掛け、対空戦闘によって戦艦や空母といった主力艦を護衛するのが駆逐艦の役目であり、「雪風」は任務を果たしながら、幾多の戦場を生き抜いていく。そして、最後まで戦場に留まり、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間たちを救助して帰還することも多く、時には敵兵にも手を差し伸べた。「雪風」は戦うために出撃しながらも、最後は必ず人を救って戻ってくることから、「幸運艦」「不沈艦」と称された。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆生きて還す ミッドウェイ戦、必死に救助にあたる早瀬たちから始まる冒頭。通して“敵を倒す”事よりも仲間を“生きて還す”雪風の姿を貫いた本作のスタートにまさに相応しい。“寝るな、死ぬぞ”と井上を叩く早瀬が、雪風に登れたとしても力尽きる者もいた、戦場の過酷さを物語る。本作のキャッチでもあり、早瀬が生前、寺澤に強く語った“生きて帰る、生きて還す”。その亡き後、井上がその精神を受け継ぐように救助にあたる姿が印象的。“諦めるな、手を伸ばせ”の言葉や眼差しが早瀬そのもので、その姿に涙腺が緩んだ。一方寺澤も、後半では自分のリスクより“1人残らず助ける”事に没頭。それは救助した別隊から注意を受けてしまうほど。これも、前半で寺澤から同じく現場のリスクの注意を受けた早瀬の姿と重なる。早瀬というキーマンを通じて、“生きて還す”雪風の精神が継承されていく事が本作の本質で、それを感じるたびに胸が熱くなった。 ◆演技力 前項の、早瀬の姿が重なる井上の救助への眼差しの演技に胸が熱くなる。早瀬を送り「泳ぎが得意ではありません」と漏れるように告げた言葉も含めて、奥平大兼の演技に光るものあり。玉木宏が妹の手紙を読む時に見せた穏やかな表情は、常に過酷な本作の中で唯一心がほだされるような感覚に。ラストの手紙を書くやはり穏やかな表情もよかった。そして竹野内豊。常にある緊張感の中で凛とした表情を崩さず、でもその中で“普通がいいな”と戦時の世を憂う姿もいい。個人的には、片道ではなく往復の燃料を軍部に切に訴える表情が最高。本作で胸に響いてきた感情は、この三人の演技なくしては成立すらしないと思える。 ◆継承 戦後も人を送り続けた寺澤。部屋で崩れ、床に落ちたあの4人の写真からは、寺澤は力尽き三人の仲間の元へ逝ったと受け取れる。その後の大阪万博の映像に、寺澤に語りかけるように井上の声が乗る事からもそれは明白。その10年後、雪風のように子へ手を伸ばす女性の髪にはあの髪飾り。早瀬から寺澤に受け継がれた雪風の“生きて還す”精神は、今度はその娘に受け継がれていた。主題歌とともに、いわゆる“第四の壁”を超えて雪風の船員たちがこちらに向けて手を振る描写。“ずっと見てるぞ”との声に、これが本作を鑑賞している我々に向けたものだとピンときた。戦後80年の節目に本作が作られたその狙いは、雪風という史実の盲点、その精神の継承を我々に向ける事にあったのだ。1970年の万博映像も、今まさに大阪万博を迎えている今の時代とのリンク。海の音が聞こえるエンドロールには、まるで自分も雪風に乗船したようで、その継承の重みがじわりと伝わってきた。 ◆関連作品 ◉「空母いぶき」('19) 同脚本家作品。本作の監督もこの作品で助監督を務めた。”戦争をしない”がテーマ。アマゾンプライムレンタル可。 ◆評価(2025年8月15日現在) Filmarks:★×3.7 Yahoo!検索:★×4.2 映画.com:★×3.4 ※個人評価:★×4.0 引用元 https://eiga.com/movie/103053/ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/雪風_YUKIKAZE