レビュー
ボウイ

ボウイ

10 years ago

5.0


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シング・ストリート 未来へのうた

映画 ・ 2016

平均 3.8

ジョン・カーニーの作品は前作「はじまりのうた」も映画館で見たが、その時同様、今回の「シングストリート」も見る前の期待を大きく上回った。彼の作る映画は、まるで映画自体がミュージックビデオのようでとてもオシャレだ。音楽性もすごく高く、歌のシーンを切り取って見るだけでも十分楽しめる。 個人的な主観だが前作も今作も、予告やポスターがポップ過ぎるし邦題も今ひとつで、実際の内容があまりに伝わってこないのが悲し過ぎる。私は映画はある程度の重厚感がないと見た気がしないと思っている人間なので、こんなポスターでは絶対に初見では選ばない。実際自分も前作は知人の誘いなしには見なかった。しかし、見た後の感想は全然違ってくる。特に今回の「シングストリート」はメッセージ性が強く、見終わった時、多くの人たちの中に余韻を残す作品である。映画の最後のテロップにある「すべての兄弟たちへ」という言葉に、ジョン・カーニーから若者たちへの思いが込められていると感じた。作中に出てくるオリジナル曲の多くをジョン・カーニーが作詞しており、主人公らが歌う「Drive it like you stole it」「Brown Shose」、特にラストシーンにMaroon5のアダム・レヴィーンが歌う「Go now」曲中にもメッセージ性満タンである。ザ、青春映画で見る世代などによって若かりし頃に想いを馳せたり、今の自分に置き換えて見たり、受け取り方は変わってくるだろう。ラストシーンはあまりの眩しさに自然と涙が溢れた。本当に眩しいほどの青春映画なのだが、この作品の良いところは舞台がアイルランドの田舎で、さらに主人公らが冴えない学生であるところだ。この設定によって、見る側にリアルを感じさせ、勇気や希望を感じられる作品になっている。 彼の作品は、とにかくセンスがいい。ファッションや映像的な部分のセンスももちろんだが、はしばしに入れてくる少しの笑いの要素がいいところをついていて、劇場でもふふふっと笑いが起こっていた。 センスはキャスティングにも現れていて、家族、ヒロイン、バンドメンバー、数多くの人物が登場するがそのすべての人物がこの映画を絶妙に作り上げている。特に、主役を演じたフェルディア。私は彼のこと知らなかったのだが、この映画でファンになってしまった。特にイケメンというわけでもなくベビーフェイスで幼くぼんやりした顔立ち、ここぞというシーンではすごく良い表情をする。そのギャップが素晴らしい。表情だけで感情が伝わる良い演技をして、見る人を引き込む。特に私は映画の最後に映る彼の表情が印象的で、見た後も余韻が残るほどだった。また歌の演技もすごくよく、映画内で色々なミュージシャンな影響を受けいくつかの歌を披露するのだが、その時々で影響を受けているミュージシャンによってうまく歌い分けていた。さらに、コナーの兄。彼の存在がこの映画にとってとても重要なスパイスになっている。先程も述べたようにこの映画は本当に眩しい若者の青春映画なのだが、彼の存在に多くの人が共感をし万人に受ける作品に仕上がっている。 前作も今作もヒットしたことによって、ジョン・カーニーに強い興味を持った。過去作品もチェックしてみると同時に、これからも彼の作品に注目していきたい。