レビュー
2019年230本目は『カメ止め』で日本に空前のブームを巻き起こした上田監督の新作、『スペシャルアクターズ』。 -------------------------------------------------- 前回の『カメ止め』は作られた映画の世界を「表」として最初に見せておいて、後から事実として何が起こっていたのかを「裏」として見せることで、そのギャップから生まれる笑いや感動を最大限に引き出した傑作でした。対して今回の『スペシャルアクターズ』は、最初に事実である詐欺事件を「表」として見せ、それから作られた芝居を「裏」として見せるストーリーで、全く正反対の構造になっています。 -------------------------------------------------- フィクション・ノンフィクションの境目を描く世界観、プロ俳優陣ではなくワークショップの出演者を起用するキャスティング、そして最後に巻き起こる大どんでん返し…と、上田組ならではの「色」が早くもしっかり出せているのはお見事でした。ただ、今回は「表」も「裏」も全てが嘘臭くなってしまって前回のようにギャップの妙がほとんどなく、一本調子に感じられます。 -------------------------------------------------- これは達者なベテラン俳優陣ではなく、演技経験の乏しい役者さんたちを起用したことによる弊害とも呼べ、そして更に残念なことに、こうした「胡散臭さ」が結末を安易に想像させる結果になってしまいました。言うなれば今回は全てが「裏目」に出たわけなんですけど、もし上田監督が豪華な演者と製作者に囲まれたら、どんな映画が出来るのか見てみたい気になりました。
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