レビュー
この時点での黒沢清の最高傑作であったと思う。 この人の映画は、いくつになっても学生映画のような映画が多く、妙な幼さを感じていたのだが、「トウキョウソナタ」あたりから、少し吹っ切れたようなキレを感じられるようになったと思う。 本作は、紛れもなく純粋にホラーであり、それもフランスの背景を持った「怪談」である。ヨーロッパの風景に落とされた「累が淵」であり、「牡丹灯篭」である。 特に黒沢の真骨頂である、「鏡」、「階段」、「後ろ」といった、美しくも恐怖のアングルの切り取りが冴えわたっている。 また、サスペンスも重厚で、芸術家のエゴ、野心を持った若者のエゴ・・といったリアルなところに、美しい怨霊が被さるのは、観ていてゾクゾクした。
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