レビュー
2019年87本目は御年70にしてまだまだ現役、フランスの女流監督クレール・ドゥニの最新作『ハイ・ライフ』。 ブラックホールに向かう宇宙船を舞台に、死刑囚たちが直面する謎のミッションを、これまた謎めいた演出で妖しくも官能的に描いています。中でも実験の監督官であるジュリエット・ビノシュの体をはった蠱惑的な演技がずばぬけており、もはや狂人と呼んで差し支えない居ずまいは、完全に主演のロバート・パティンソンやその他のキャストを食っています。 しかしどうにもアーティスティックといいますか、刺激的なシーンは次から次へと飛び出すものの、それらが持つ意味や生じた隙間を見る側が想像で毎度埋めていかなくてはならず、非常に疲れます。色々とこねくり回してはいるものの、密室空間に密閉された人間が一人一人消えていくという過程は単なるソリッドシチュエーションスリラーと変わらないため、正直にいって退屈さは否めません。 ストーリーの終着点も何だかありきたりなところに落ち着いちゃうし、美術や音楽・衣装といったビジュアル面にこだわりのある方はど真ん中ストレートだと思いますが、それ以外の方にはこぞってお勧めはできないですね。明らかに批評家ウケしそうな1本です。
いいね 3コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.