
北丸
2 days ago
弱くて強い女たち
平均 3.2
2025年11月09日に見ました。
特に前情報はなかったし、タイトルと『産地』で視聴を決めた映画。 結果からいうと、見て良かった……だ。台湾の文学的作品は、あわーい味付けのお粥に、時折噛み応えのある漬物食ってるという感覚がある。何とも具合の良い映画。 これは『白色テロ』時代を含む台湾史、もっといえば台湾女性史そのものなのだろうと思った。ちょっとロマンチストな男と出会い、恋 に落ち、激動の時代に翻弄されながら生き抜いた一人の女性の映画だろう。 「一人の女性」としての母の姿を、娘たちといえど理解できないし、母もまたそれを口にすることはなかった。娘たちにとって母は生まれたときから母だからだ。一人の女として、誰かの娘として生きていた母の姿を知るのは、今はもう死んだ「音信不通の夫」だけだろう。離婚せずにいた長い時間を思ったら、何だか切なくなる。言葉にしようと思えばできると思うが、そうしてしまうのが勿体ない気もするような作品。 娘たちは娘たちでそれぞれの立場での葛藤があったりするし、父親との接触は年齢によって微妙に違いこの姉妹もまた一枚岩ではない。そこに孫娘が絡み合い、世代の違う女性たちが一人の男の葬儀を巡ってグルグルと回る感じか。群像劇のようであり、同時に個人を描いた伝記のようでもあり。台湾南部のほぼ熱帯という地域の風景を背景に、それほど長くもない時間(映画の中で流れる時間は父親の死→葬儀の終わりくらいまでよね?)を丁寧に描いた良作だ。 なんか、しょーもない直感でしかないんだが「海街dairy」をみたくなった。まだ見たことないのでみてみよう。