2020年110本目は、絶体絶命のピンチに追い詰められた一家の１日を描くサスペンス『タイムリミット 見知らぬ影』。 ------------------------------------------------------------ 東京ではイメージ・フォーラムのみでひっそり上映されていたかと思いきや、なんと既にU-NEXTやAmazonプライムで配信しているから驚きました。コロナの影響でスパンが短くなっているのかな…なんて心配は置いておきまして、狭い車内を舞台としているにも関わらず、次から次にハプニングが起きる中々面白いサスペンスでした。それに泣き叫びながら七転八倒する父親の姿もよい。 ------------------------------------------------------------ 主人公は結婚記念日に妻にプレゼントを買ってくる良い父親に見えるんですけれど、物語が進むほどに「お前最低だな…」と、その理想像がどんどん崩れていくんですね。犯人のやり口には共感できない一方、これぐらいのことをされてもコイツは仕方ないという諦観も芽生えてきます。それでも映画全体のトーンが彼を見捨てず、家族の再生を描くストーリーに仕上げていくのが素晴らしい。 ------------------------------------------------------------ 問題は合間で顔を覗かせる「ありえない矛盾」で、特に途中から捜査を開始する警察には、無能すぎて殺意がわいてきます。個人的に「警察が使えない」ことによって成り立ってる映画はそれだけで大きな減点要素ですし、身元を調べずに赤の他人を現場に入れる暴挙にはめちゃめちゃ白けました。こうした瑕疵は認めつつも、配信サービスでご覧になる分には損しない作りに達しているんじゃないでしょうか。