レビュー
2020年159本目は、息子を亡くした女性が偶然にも息子そっくりの少年と出会うことで波乱が幕を開ける、『おもかげ』。 ------------------------------------------------------------ もともと15分程度の短編であったものが好評を受け本作の製作につながったわけなんですが、長尺にしたことで短編にはなかった歪さが出てしまったような気がします。失踪した子供にそっくりな子を見つけたことから始まるストーリーは『チェンジリング』、近作で言えば『ブリング・ミー・ホーム』など今となっては珍しいプロットではありません。自ずとポイントは悲劇を背負った主人公のキャラクター造形になります。 ------------------------------------------------------------ ところがヒロインのエレナは息子への妄執に取り憑かれていると言っても良く、その行動や言動は共感を呼ぶタイプではないでしょう。息子そっくりのジャンを見つけるなり家まで尾行したり、その後も周囲が止めるのも聞かずにつきまとったり、ジャンの両親がブチ切れるのも当然としか思えません。特にエレナの恋人は彼女のことを考え様々な手を尽くすのですが、エレナはことごとく彼の信頼を裏切ります。 ------------------------------------------------------------ 理解し難いのはジャンも同じで、年上の女性にナンパ感覚で気安く声をかける初対面のシーンから「変な奴」にしか見えませんし、驚愕するのは2人の関係性が明らかに「性的」なものへと変わっていく点です。年上の女の人に憧れる青少年の気持ちは百歩譲って分かるとして、息子の面影を重ねる15歳の男の子に欲情するってどういう気持ちなのかサッパリ理解できません。冷静に見ると結構「サイコ」な奇作だと思います。
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