レビュー
dreamer

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9 months ago

5.0


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街の灯(1931)

映画 ・ 1931

平均 3.9

この映画の白眉はラストシーンにこそある。このシーンこそ、チャールズ・チャップリン渾身の一撃とでも言うべき場面であり、一度観たら絶対に忘れられなくなるエンディングだ。手術によって目が見えるようになり、今は豪華な店で働く娘が、チャップリン扮する放浪者と再会する場面だ。放浪者は娘に恋をしているし、娘も放浪者の真実の姿を知らないまま恋をしているというか、憧れの感情を抱いている。その二人がようやく再会するわけだが、この再会をハッピーエンドと取るか、あるいは花売り娘が放浪者に幻滅してしまう残酷な結末だと取るかは、観る者に委ねられている。この再会を恋する二人のハッピーエンドと見るのは、あまりにも無邪気で、無理があるように思います。この場面の後、放浪者と花売り娘との間にロマンスが続くとはとても思えません。そもそも、放浪者は花売り娘に手術代を渡す時点で、この恋が成就しないことを知っているはず。しかし、それでは花売り娘が失望するという、残酷なだけの結末かというとそうでもないように思えます。確かに娘は愕然としたはずだし、幻滅も覚えただろう。まず間違いなく、彼女の心の中にあったロマンティックな憧れは消えたはずだ。それまでの彼女は、言ってみれば少女のような夢を見ていたのだ。しかし、夢は終わり、彼女はようやく真実を知ったのだ。しかし、彼女がもしそれまで映画で描かれていた通りの繊細な心の持ち主ならば、幻滅の後にやってくる圧倒的な感情があるはずだ。それは、もはやロマンティックな夢想とは無縁の、人間としての感謝、感動ではないだろうか。大金を出して自分を救ってくれたのは、大金持ちの青年貴族ではなく、食うや食わずの貧しい放浪者だったのだ。それが意味するところが分からない彼女ではないはずだ。放浪者が自分のために、どれほどの犠牲を払ったのか、それが分からないはずはないからだ。私には、これ以上感動的な結末はないように思えます。彼女はようやく娘らしいロマンティックな夢から覚め、"人生の厳しさと素晴らしさ"、つまり"真実"を目の当たりにするのだ。彼女の目は、最後にもう一度開くのである。