レビュー
dreamer

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4 years ago

5.0


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愛、アムール

映画 ・ 2012

平均 3.6

"夫婦の愛を静かに、厳しく見つめる珠玉の名作 「愛、アムール」" コンサートホールの観客席。舞台から見下ろすカメラが、開演を待つ大勢の顔を映し、その中に品の良い夫婦がいる。 ミヒャエル・ハネケ監督の映画「愛、アムール」は、そんなどこにでもいそうな夫婦が直面していく"老いと病"を通して、珠玉の愛を描き出した名作だ。 哀愁と気高さに満ちたピアノ曲の後、幸せな余韻に浸る夫婦が帰宅したところから、この物語は始まります。 カメラはもうその後、二人が暮らすパリの部屋を出ることはないのです。翌朝、突然の病に襲われた妻と、介護をする夫の日々を、この映画はひたすら見つめていきます。 手術に失敗した妻は「もう病院には戻らない」と宣言する。時折、訪ねて来る娘は、再入院を勧めるが、妻の願いを受け入れた夫は、共に自宅で暮らすと覚悟を決めるのです。 「あなたは怖い時もあるけど、優しいわ」といった会話や労わり合いの場面が、二人が積み重ねてきた"時間の豊かさ"を伝えていく。 だが、閉じた空間で悪化する病と向き合い、介護にも追われるうちに、夫婦の感情のやりとりは緊張感を増していくのです。 過剰な感情表現を抑えて、事実だけを伝えていく。夫婦の心を純化した形で見せているから、終盤に夫が見る幻は、この上もなく美しいのです。 気品を失わない妻を演じたのは、広島を舞台にしたアラン・レネ監督の名作「二十四時間の情事」のエマニュエル・リヴァ。夫を「男と女」「暗殺の森」のジャン・ルイ・トランティニャンが演じ、それぞれ魂のこもった名演を見せてくれる。 アカデミー賞にオーストリア代表で出品され、外国語映画賞を受賞。また、ミヒャエル・ハネケ監督は、前作の「白いリボン」に続き、2作連続でカンヌ国際映画祭の最高賞に輝いています。