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コンプライアンス -服従の心理-
平均 2.8
原題の「Compliance」は「要求、命令、規則」などの意味。 2004年のアメリカ、ケンタッキー州で実際に起きた事件を基にした心理サスペンス。 ある田舎のファストフード店に警官を名乗る男から電話がある。 ある客が従業員のベッキーにお金を盗まれたとのこと。 警察がそちらに行くまで、店長のサンドラにベッキーに対する身体検査をしてほしいと言う。 穏便に済ませたいサンドラはベッキーや他の従業員も含めて、何とか危機を避けようとする…そんな心理を描いたストーリーです。 この作品は評価も低く、店長の態度に「バカすぎる」のコメントも多いのですが…。 何と言っても店長サンドラを演じたアン・ダウドが素晴らしすぎた。 最近の『対峙』でも感じたが、なにをやってもうまいと思った。 冒頭、従業員の誰かが冷凍庫を閉め忘れ、食材を再搬入してもらうシーンがいい。 搬入業者から辛辣に「君には対処できない」と言われるサンドラの表情。 店では若い従業員がたわいもない話をしている。 それに対抗するようにサンドラは婚約者の話をする。 後にバカにされるような言葉を盗み聞きしながら目だけ出しているサンドラの複雑な真顔。 若い従業員に対する嫉妬絡みなのか、ここまでのアン・ダウドに釘付けでした。 警官を名乗るダニエルズと言う男から捜査の協力を求められるサンドラ。 若いベッキーははじめは拒否するがいつの間にか警官とサンドラの言いなりになっていく。 確かに最寄りの警察に確認をすれば良いのだが、田舎町のお店の店長職にしがみつくサンドラは「何とか自分で対処したい」と頑張る。 もちろん間違った対応なのだが。 服を脱ぎ、下着まで脱がされたベッキー。 脱いだ服を入れた袋を指示通りに車に置きに行くサンドラもおかしいのですが、みんな真面目に対応している。 金曜日の夜、混雑するファストフード店でベッキーを見張る人も足りなくて、サンドラが婚約者のヴァンを呼ぶところから一気におかしくなる。 言葉巧みに指示を続けるニセ警官ダニエルズ。 裸のベッキーに対する要求は性的暴行になりエスカレートするのです。 実際にその場に居たら冷静に判断できなくなるのか、服従せざるを得ない心理で収拾がつかない。 まともだったのは店の問題児の従業員ケヴィンと、メンテナンス担当のハロルドだった。 「馬鹿げている」と一言でやっと騙されたことに気付く店の従業員。 気の毒なベッキーが防犯カメラを見つめる姿は何とも言えなかった。 結局、30の州で70件以上も発生したこの事件。 「ベッキーは気の毒だったが私も被害者のようなもの」と言い切った店長サンドラ。 テレビの司会者のインタビューの合間に「どこ出身?」とか笑顔で話しかける彼女の姿がいつまでも印象に残った。 いわゆる「ストリップサーチいたずら電話詐欺」と言う卑劣な犯罪だが、(警察など)権威に弱い人間や、その場に実際にいる人々に対して簡単に批判はできないと思った。 遠隔で洗脳されてしまう弱みは実際にあると思うし、こうして多くの事件が起きたのが事実です。 確かに胸糞な内容だけど、サンドラ役のアン・ダウドの演技力を改めて感じた作品でした。 (若くて美しいだけが女優じゃないのです)