レビュー
原題は「Puzzle」です。 以前に観たアルゼンチン映画「幸せパズル」のリメイクなので、内容も家族構成もほとんど同じでした。 (ラストがちょっと違うかな) 郊外に住む主婦のアグネス(ケリー・マクドナルド)は家庭の事、教会の行事などひたむきに奉仕して日々暮らしていた。 誕生日に「パズル」をもらい、1000ピースをあっという間に作り、自分の才能に気付くアグネス。 そしてパズル王(チャンピオン)のパートナーになり大会を目指す…そんなお話。 まぁ、一言で言えば平凡な暮らしの主婦がパズルを通して人生を見つめ直すストーリーです。 最初の誕生日パーティーのシーンから違和感を感じました。 部屋の飾り付けから料理、ケーキを一人で用意するアグネス。 家族や親戚が揃うなかで給仕に明け暮れるアグネス。 そしてろうそくの灯ったケーキを持ってきたのもアグネスなんですが、何とアグネス自身の誕生日パーティーだったのです! これですべて家族の力関係がわかる。 でも良く考えたら、自分の家庭をどう築くのかはアグネスにも責任がある。 古い考えの夫ルイは妻の気持ちには理解が浅いけど、一生懸命資金繰りをしながら働いている。 愛し方の表現は不器用ながらアグネスを多分愛してる。 2人の息子もそれぞれで長男ジギーは割りと母親の気持ちに寄り添っている感じ。 次男はなかなか冷めていて、大学入学の志願書に書いた文が辛辣で驚きました。 「母は決められた環境で幸せそうに見えない」 「閉ざされた人間で家族に尽くすだけの人生」 「既成概念を壊せない父、意欲のない母は僕の目指す将来ではない。」など。 そしてここまで厳しく親を断罪していながら、学費としてもらうお金で一年ほど旅に出るだと! 次男は両親や兄が大学進学しなかったのを若干バカにしているように感じました。 さて、ここまではいろいろわかるのですが。 アグネスがパズル王のロバート(イルファン・カーン)の元で練習をしているうちに、なぜキスをする? 「愛してる」と言う? 最後には一線を越える関係になるのが信じられない。 もちろんアグネスが自分の意思表示が出来るようになったのは良いけれど、この展開はまったく共感できませんでした。 パズル大会の描写も物足りないし、ただきっかけがパズルだったと言うだけ。 ラストはアグネスの「一歩」なのでしょうが、そこまでの人生を決めて築いて来たのも貴女なのですよ、と言いたい。 最後に、最近亡くなったインドの名優イルファン・カーンの遺作になりました。
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