レビュー
原題の「The Aftermath」の意味は「余波」とか「痛手」という意味。 邦題の「モーガン夫人の秘密」は何と安っぽいタイトルなんだろう。 舞台は1946年のドイツ、ハンブルク。 敗戦国になったドイツに連合軍として復興対策の任務をするためイギリス人夫婦が赴任。 夫のモーガン大佐(ジェイソン・クラーク)と妻レイチェル(キーラ・ナイトレイ)は一人息子マイケルをドイツ軍の爆撃で失っている。 接収した大きな屋敷に住んでいたドイツ人建築家のルバート(アレクサンダー・スカルスガルト)と娘はモーガン大佐の好意に寄り屋根裏部屋に住むことに。 そんな奇妙な同居生活だが、孤独と寂しさを抱えていたレイチェルはルバートと恋に落ちる…そんなお話。 私の中では情けない男とか捨てられる男のイメージが強いジェイソン・クラーク! 今回もそんな予感がしながら観ていると、モーガン大佐はなかなか懐が深く優しく仕事ができる男でした。 ただ一つ、息子マイケルを亡くした後、レイチェルに寄り添うことなく仕事に没頭して逃げたこと。 だから夫婦のミゾが大きく、ハンブルク赴任はやり直すきっかけにしたかったのだろう。 一方のレイチェルは屋敷に居ても孤立してしまい、英語を話すルバートと唐突に親密になってしまう。 ルバートを演じるのはスウェーデンの俳優一家の長男で、父親のステラン・スカルスガルトに目元がそっくり。 その上、高身長で端正なお顔、アラン編みのセーターの似合うこと! 2人の恋に落ちる過程は唐突で、いくらお互いに愛する人を亡くした者同士だとしてももっと丁寧に心情を描いて欲しかった。 そうしないと一時の火遊びにも感じてしまう。 レイチェルとルバートの関係を知ったモーガン大佐の苦悩、初めて息子マイケルを失った辛さを吐露しますが、夫婦で悲しむ時期を共有できなかったのが一番の間違いだったのですね。 夫の元から去るレイチェルが大切にしていたマイケルのセーターを屋敷に置いて行きます。 その程度の悲しみだったのか…。 結局ラストは夫の所に戻るレイチェル。 悲しみや孤独が彼女を振り回していたのかもしれないけど、本当に振り回されたのは男たち。 原作小説にはその辺の心情が細かく描かれているかもしれないけど、映画では物足りない。 キーラ・ナイトレイは好きです。 夫が帰ってきて凍りつく表情とか揺れる心は感じたけど、やっぱり「火遊び」の枠を出ない。 そしてジェイソン・クラークが珍しく報われた結末にビックリしました。 ジェイソン・クラーク、良かったね。
いいね 1コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.