レビュー
akubi

akubi

7 years ago

5.0


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トリコロール/赤の愛

映画 ・ 1994

平均 3.6

拒絶と怒りの赤。そしてそれに代わりうる、あるいは同等の、隣人 への愛の赤。こころが解けてゆく温度と音が聴こえてくるよう。 優しい嘘と残酷な真実。善と悪。そのさかいめに、めをこらさずに受容するやわらかさとそっけなさ。キェシロフスキのにんげんへの愛と絶望。わたしたちはそうして、ゆるくて、細いけれど、運命の糸で繋がっている。それは恐ろしいことだろうか、それとも、あたたかく心許なさを拭ってくれるものなのだろうか。たおやかにしずかに見守る愛が流す涙は、枯れた荒野にいつしか清らかな泉を創るだろう。そして一日のあるいっときの瞬間に部屋に射す、美しい陽光を待ちわびる。それが、わたしたちの人生なのだ。 この三部作となったひとつの長い映画があれば、"もう、なにもいらない" かもしれない。