レビュー
原題は「The Man With The Iron Heart」、「鉄の心臓を持つ男」とも言われたナチスNo.3のハイドリヒ・ラインハルトの物語……だと思ったら違った! 確かに前半はハイドリヒを描いています。 女性問題で軍法会議にかけられたハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)がナチ党員のリナ(ロザムンド・パイク)と知り合い、「しっかりしろ!」「男らしく!」とハッパをかけられ、得意な統計や諜報力でのしあがっていく。 情けない男を演じるのがうまいジェイソン・クラークと怖い妻役のロザムンド・パイクの対比は面白い。 その後、プラハに赴任になったハイドリヒは浄化と言われる虐殺を次々と行う。 激昂しやすいハイドリヒをもはやコントロールできない妻。 やることは卑劣で残虐なハイドリヒの作戦に至るまでの経緯は物足りない描写でした。 さて、後半はまるで二部作のようでした。 チェコから亡命し、在英チェコ軍基地にいた兵士がパラシュート部隊としてプラハに降り立ちます。 目的は「ハイドリヒ暗殺」で、以前に観たキリアン・マーフィー主演の素晴らしい映画「ハイドリヒを撃て!……」でもお馴染みな実話。 キリアン演じたヨゼフ役に今度はジャック・レイナー!好きな役者です。 パラシュート兵士のヨゼフとヤンを中心に協力するレジスタントの人間模様はとても心に染みました。 ハイドリヒを暗殺しても、その後チェコ国民に及ぶ報復を心配する兵士たち。 しかしもう既に多くの反抗分子として多くの国民が虐殺されているのです。 いよいよ実行の日、ハラハラするその光景は何度観ても息を飲むシーンです。 その後の逃亡、教会に隠れる兵士たち。 (裏切ったカレル は後に処刑) そしてドイツ軍による恐ろしいチェコ内での集団虐殺。 兵士たちを助けたレジスタント家族の自害。 もう正視できない残酷なシーンばかりでした。 「ハイドリヒを撃て!…」でも感じたのですがわずか6人(最初は7人、裏切ったので最後は6人)が大量のドイツ兵士と何時間も戦ったという真実。 水攻めに合い、最期のヨゼフとヤンの運命、知っていてもたまりませんでした。 そしてラストシーンがズルい! ポーランドの農場の道、トラックの荷台で初めて会ったヨゼフとヤンの姿…すぐに意気投合した2人の笑顔が忘れられない。 と言うことで、タイトルやジャケ写真はハイドリヒ主役なのに、パラシュート兵士のヨゼフ、ヤン、仲間たちが堂々の主役でした! 何か変だけどおまけの評価で星3つ☆☆☆。 それにしてもハイドリヒは死ぬ間際にその後のホロコースト計画を遺し、歴史に残る悲惨な大量虐殺を敢行したのです。 戦争の恐ろしさ、浄化と言うおぞましい作戦、観る度にやりきれないです。
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