レビュー
てる

てる

2 years ago

3.0


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フォロウィング

映画 ・ 1998

平均 3.5

ノーランの処女作だそうです。 確かに言われてみるとノーラン節があるよね。時系列をこねくり回して表現する演出は『メメント』っぽい。この頃はまだ音楽にかける予算がないけど、ノーランらしいこだわりは感じる。 いっぱい映画を観ている人って白黒映画に憧れるのかな。 日本で白黒映画を撮るとなるとカッコつけすぎで、観ているこっちが恥ずかしくなっちゃう。 白黒で撮るならば、やはり映像に合う時代構成にしなくてはならない。そうするとロケーションや衣装小道具メイクやら予算が嵩む。自主映画では中々難しい。それかよっぽどの狙いがないと上手くいかない。 でも、海外の作品だと白黒映画でもさほど違和感を感じない。 それはロケーションなのか衣装なのか小道具なのか、はたまた役者の顔立ちなのか、その要因はわからないが、カッコよく見える。白黒というだけで、味があるように見える。不思議だ。 この作品も時代背景はよくわからないが、白黒の時代ほど古い設定ではないはずだ。それでも違和感どころかカッコよく見えるのは、ノーランの手腕がなせる技なのだろう。 街中を歩いている人を尾行する。 作家志望とはいえ妙な趣味だ。彼はネタ作りのためにやっているだけなのかもしれないが、それは他者から見るとかなり異常性の強い行為だ。如何様な事件に巻き込まれてもおかしくはない。 もしかしたらビルはその様な体験を望んでいたのかもしれない。スリルを楽しんでいたという一面は必ずあるはずだ。 まぁいずれにしろ身から出た錆だ。自業自得である。 それにしてもコッブは何者だったのだろうか。鮮やかすぎる犯行。最後には影も形もなく立ち去る。工作員にしては趣味が出過ぎている。IQの高すぎるサディスティックな趣味人といったところか。 始めはただの小悪党というか、変わった趣味の変態なのかと思う。やっていることはただの空き巣になのだが、独自の美学を持っている。やり方は大胆だが、スマートだ。 犯罪者といえど、美学やルールを持っていると魅力的に見える。プロなんだなと感じる。 しかし、その犯罪者にのめり込んではいけない。彼らはビルのような好奇心旺盛な者を狙っている。甘い汁で誘い込み、あっという間に毒牙にかけられてしまう。 ビルも途中で手を引くことも出来ただろうに、犯罪に加担し、挙げ句に罪をかぶせられ、いい様に利用されてしまった。 この作品は、ビルのような危なっかしいことをしている人は気をつけようねっという内容ではない。コッブという犯罪者の鮮やかな手口を見るミステリーというか、ノワール作品なのだ。 最後のどんでん返しに恐怖を覚える。 きっと、今のノーランであれば、150分くらいの長尺で、ディカプリオが主演の大作で描いてくれることだろう。 だが、これはこれで味があって面白い。まだ若き日のノーランの駆け出しの拙さを感じる。プロの演出家になる前の作品だ。巧妙さにやや欠けるが、その粗削りな部分に味を感じる。今のノーランの作品を知った上でこの作品を観ると貴重な資料を観ているようで、また違った視点で楽しめる。