レビュー
ジム・ジャームッシュが監督・脚本を務めて製作された2016年のアメリカ映画 ・ ジム・ジャームッシュ作品が好きだと言うと映画通ぶってるだの言われがちだが、彼の作風が昔から好きだ。前作「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」はカッコいい作品だったけど、この「パターソン」こそジム・ジャームッシュらしい作品。パターソンという町に住むバス運転手の日常を描いたオフビートな雰囲気。オフビートというのがジャームッシュらしさ ・ ハリウッド大作のドンパチして大きなBGMでドカーンって作品が大好きな人にはウケないかもしれない。なぜなら大きな事件なんか起きないから。あくまでパターソンに住む詩を愛するパターソンって名の青年の日常を切り抜いているだけ。彼の目に写る美しい日常。他人にはなんてことないことも彼の感性は美しく写し出す。何気ない日常にある素晴らしさを描き出す。非現実を求めがちな映画というエンターテイメントだが、現実を生きる人々に寄り添ったこの作品が持つ気高さは特別だ ・ スターウォーズで日本でもお馴染みのアダム・ドライバーが主人公パターソンを演じている。スターウォーズは思いっきり入り込んで役を演じているけど、この作品では自然体の彼を見れる。何気ない喜びに出会った時の表情なんかはいい演技だった。恋人役のゴルシフテ・ファラハニも雰囲気ある女優でよかったけど、飼い犬のブルドッグが1番かわいくて最高だったかな。永瀬正敏が久しぶりにジャームッシュ作品に出演していて役もいい役だった ・ アメリカの詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズとロン・パジェットをオマージュした作品らしいが、登場人物に詩を書く人が何人も出てくるし、内容も映像も詩的だ。たんたんと進むオフビートな作品を退屈と表現する人もいるかもしれない。映画に求めるものによるんだろう。個人的には日常の美しさを描いた「パターソン」は、ぬくもりを感じる輝きを放つ作品だった
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