レビュー
いやぁ、面白かった。 M・ナイト・シャマラン監督の映画は、一見面白くない気がしつつ、じっくり観直してみるとそのカットごと、シーンごと、カメラワークや演出に仕込まれた「ダシ」が効いていて(あるいは効いていなくて)かなりの中毒性を帯びたハマり方をするものだ、と改めて思った。 「アンブレイカブル」はズーンと重い青黒い画面の中で繰り返される丁々発止のギャグシーンに唖然としながら段々とそれが爆笑に変わり、「スプリット」における多重人格スリラーの皮を被ったモンスター映画、からの尊厳の救済の物語に爆笑から感動という振れ幅に感情が疲れる傑作だった。 本作はその映画自体のトーンが違う2作が合流し、背脂豚骨魚介ダシ全部乗せ、みたいな映画になっていて楽しい。 マカヴォイの変な性癖とも言える監禁誘拐殺人(?)と、ヒーローなのか?ビジランテなのか?という危うさを秘めたブルース・ウィリスに加え大人になったあの、親を拳銃で撃ちたがる息子の2人。 その設定と物語だけでとにかく変、そして楽しい。 この変な世界観を変な登場人物を、しっとりした画面と落ち着きのあるカメラワークで、ドッシリと鑑賞できる。 はっきり言って頭がクラクラする。 しかし、最後は三者三様の生き様に心から力を貰った。 この不条理と、ボンヤリ。なのに駆け上がる「個」のやるせない魂の昇華、に感動。
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