レビュー
超低予算ながら世界各地で数々の賞を受賞したサスペンス・ホラー。 学校でいじめられている主人公マーティは、ある日、兄がクローゼットに人間の生首を隠していることを知ってしまう。そんな恐ろしい一面がありながらも、自分にだけは優しい兄にマーティは複雑な感情を抱くが…。 製作費はわずか8000ドル。キャストももちろん無名。映像もホームビデオみたいなクオリティーなんだけど、不思議と引き込まれる。いじめられていることを除けば、友達と遊んだり、父親と映画を観にいったり、とマーティのごく普通の日常が綴られるのだが、その背後に「兄に秘密を知っていることがバレるんじゃないか」という変な緊張感が延々とつきまとってくるので、終始気が休まらない。展開的にも視覚的にも強烈なラストを迎えるまで、一切飽きさせないような作りになっています。 ただ、個人的に最後は不完全燃焼だった感じがする。「いじめ」「黒人差別」「両親の教育」と様々な問題を絡めながらも、結局何を言いたいのかが分からない。それに、兄はマーティに に対して異常なほどの愛情を示すのだが、その「きっかけ」の描写がないため、弟にそこまでしてこだわる理由もイマイチ伝わってこない。結果的にマーティは兄を拒絶してしまってるわけだから、「兄弟愛」という点でも不十分。それを描きたかったなら、いっそマーティが兄という「ダークサイド」に引きずり込まれてしまうくらいまでいってほしかったです。 そういう問題点はあるものの、「兄が生首を隠している」という衝撃的な設定を十分に活かしきれていたし、全体的には秀作と言える完成度だと思います。
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