
ひろ

スーパー!
平均 3.4
「ドーン・オブ・ザ・デッド」の脚本で注目を浴びたジェームズ・ガンの監督2作目となる2010年のアメリカ映画 さえない中年男フランク(レイン・ウィルソン)。彼の妻(リヴ・タイラー)がセクシーなドラッグディーラー(ケヴィン・ベーコン)の後を追って家を出てしまう。愛する妻を取り戻すため、彼はお手製のコスチュームに身を包みスーパーヒーロー“クリムゾンボルト”に変身。イカれた女の子ボルティー(エレン・ペイジ)を相棒に、危険地帯の犯罪に立ち向かうフランクだったが…。 設定だけ聞いたら「キック・アス」を想像するだろう。確かに素人ヒーローであり、残虐性の高い脚本は共通している。しかし、この作品が描くヒーロー像は全く異なっている。監督のジェームズ・ガンは、B級ホラー映画で有名なトロマ出身だっていうんだから、エグい表現も納得できる。「ドーン・オブ・ザ・デッド」でゾンビを走らせた奇抜な男でもある。 妻を取られた男がヒーローになった。もちろん特殊能力などない。右手にはスパナを持っているだけ。監督はクリムゾンボルトの暴力を生々しく描いている。これはヒーローへの挑戦状だ。正義の名の元に、数々のヒーローが悪を倒すために使ってきたのは“暴力”なのだと言わんばかりだ。 遅咲きながら最近の活躍著しいレイン・ウィルソンがフランク、そしてクリムゾンボルトを演じている。この人はコメディもできるけど、シリアスな芝居もうまい。負け犬から這い上がる役が多いけど、このクリムゾンボルトは最高だった。 ヒーローものに付き物の相棒ヒロインのリビー(ボルティー)を演じたエレン・ペイジ。「キック・アス」ではヒット・ガールが主人公を喰う活躍をしていたが、このヒロインもとんでもない。テンションが上がるとクリムゾンボルトがどん引くぐらいやり過ぎてしまい、さらにエロいというイカれたキャラ。そんな役をエレン・ペイジが演じていることに驚いた。最後もすごいことになってるし。 フランクの妻で麻薬中毒のサラをリヴ・タイラー。ドラッグディーラーのジョックをケヴィン・ベーコンが演じるという低予算とは思えない豪華キャスト。ケヴィン・ベーコンの悪役は好きだなあ。監督のホラー友達なのかロブ・ゾンビが神の声で出演している。 そんなロブ・ゾンビ監督の映画音楽も手掛けるタイラー・ベイツがサントラを担当しているが、この音楽がめちゃくちゃかっこいい。こういう映画では音楽の重要性は高い。このかっこいい音楽は、この作品の音楽として完璧だったと思う。 アニメーションによるオープニングは観ているだけで楽しくなるし、劇中でもポップでコミック的な演出が面白い。残虐性の高さで賛否が分かれるだろうけど、コメディとしてはかなり笑えた。素人ヒーローを正義として描いた「キック・アス」も大好きだけど、素人ヒーローのリアルを描いた「スーパー!」も傑作だ。