レビュー
2016年、トランプ政権の誕生で注目されたJ・D・ヴァンスのベストセラー著書『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された人々』の映画化作品。 ヴァンスはラストベルトのオハイオで、オピオイド依存症(後にヘロイン依存症)で結婚を繰り返す元看護師の母親と暮らしながら名門校イエール大学に進学。 その後あのピーター・ティールのベンチャー・キャピタルで社長を務め、現在は作家兼ベンチャー・キャピタリストとして活躍しているそうです。 名匠ロン・ハワードが監督を務めた本作は、原作にある「人々の悲痛な怒り、内側のエネルギー、米国社会の断絶と格差」が描かれず、単なる貧しい白人家族の物語になってしまっているという理由で批評家の評価は低いそうですが、自分は傑作だと感じました。 ジャンキーの母親ベヴをエイミー・アダムス、ベヴの母親でヴァンスの祖母マモーウをグレン・クローズが演じていますが、この2人の渾身の演技はオスカーレベル。 この負の連鎖から決死の覚悟で孫を救う祖母を演じたグレン・クローズ、そして救いようのないジャンキーを演じたエイミー・アダムス2人の怪演は恐ろしいまでにリアルで、この2人の演技だけでも観る価値は十二分にあります。 そして主人公ヴァンス(ガブリエル・バッソ)の幼少期を演じたディラン・ゲージが素晴らしい!! ちなみに大好きなヘイリー・ベネットがブライス・ダラス・ハワード並みに拡張してたのも衝撃でした。 エンドロールで本人たちが登場しますが、全員ソックリでビックリ。 ヴァネッサ・テイラーの脚本もよくできているし、ハンス・ジマーの音楽もいいし、何より純粋にトップ女優の演技力を堪能できる稀有な作品だと思います。
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