レビュー
直近で劇場公開・配信された新作をレビュー、今回取り上げるのはアーロン・ソーキン監督の史実に基づく法廷サスペンス『シカゴ7裁判』。 ------------------------------------------------------------ 関わる作品全ての構成がクセ強め、特に前作で初めて監督を務めた『モリーズ・ゲーム』では、あまりの情報量に半ば観客を置き去りにするような展開が目についたんですが、今作では数々の個性豊かなキャラクターが登場するにも関わらず、1人1人の見せ場もちゃんと確保されている上、ストーリーの流れも見事に「交通整理」されていて時間が足りないと感じるほどです。 ------------------------------------------------------------ 人種差別により多くの人々が人権を奪われた痛ましい事件を題材としながらも、法廷劇そのものを「弱者が強者に一泡吹かせる」という、万人受けする分かりやすいエンタメ構成で語ってみせたのは見事と言う他ありません。このレベルが乱発できるようになったら、正直「based on true story」系でアーロン・ソーキンの右に出る者はいなくなってしまうかも。 ------------------------------------------------------------ 特に上手いのは本作の「引き際」で、法廷に訪れる「勝利の瞬間」をこれまでにない斬新な方法で描き出したラストシーンは必見でしょう。エディ・レッドメインやサシャ・バロン・コーエンももちろん名演ですけれど、私としては最後の瞬間に至るまで見る側のフラストレーションを蓄積させ続けた、極悪判事ジュリアス・ホフマン役のフランク・ランジェラにMVPを差し上げたいところですね。
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