レビュー
直近で劇場公開・配信された新作をレビュー、今回取り上げるのはあのオバマ大統領も年間ベストの1本として選びました、『バクラウ 地図から消された村』。 ------------------------------------------------------------ ネットフリックス配信の『アクエリアス』で大壮な評判を呼んだブラジル人監督、クレベール・メンドンサ・フィリオの新作なんですが、やはり今回もただのサスペンスでは終わらない珍妙な1本でした。まず始まってすぐに画面に宇宙空間が映し出され、舞台が近未来であることを匂わせます。その後も劇中には謎のUFOが登場するため、B級SFなのかなと思うわけです。 ------------------------------------------------------------ ところが主人公が帰省する村は非常に小さなコミュニティで、昔ながらのしきたりによって厳しく統制されていますし、全く近代的ではありません。更に村は悪徳市長によって水の利権争いに巻き込まれており、格差は広がるわ問題の根底は変わらないわで、監督の笑えない「未来予想図」に軽く絶望した気持ちになるんですね。 ------------------------------------------------------------ ところが本作のジャンルはなんとれっきとした「西部劇」でして、物語は後半から血みどろの展開がひたすら続きます。確かに虐げられている村民にはエールを贈りたいのですが、「そこまでやれとは言ってない」の一言。不平等を解決する手段は「暴力」しかないのだという極めて不条理なメッセージに、何ともスキッとしない気分にさせられます。
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