レビュー
ディアオ・イーナン監督の7年ぶりの作品にして、ベルリン国際映画祭で金熊賞を獲得したサスペンス。 本作はいわゆるファムファタールものなんですが、ヒロインを演じるグイ・ルンメイは決して「美人」ではありません。しかし幸薄そうな顔立ちは男の庇護欲を刺激するに十分であり、出で立ちや仕草ひとつ取っても妙に艶かしいのです。彼女の存在感が曖昧模糊としたこの映画に一輪の花を添えていることは間違いありません。 反してストーリーは批評家受けしそうな内容であることはわかるんですけれど、登場人物の心情についていけないシーンが多すぎて、気が散る一方です。ヒロインもそうですが一番理解しがたいのはリャオ・フェン演じる刑事でしょう。 映画の冒頭で離婚を迫られた妻に対し暴力的な行動に出る野蛮なこいつは、事件を捜査する過程でも何の説明もないまま突飛な行動を頻発するため、「考えるな!感じろ!」と常に言われているようで非常に疲れました。 「理解できないのが人間なんだよ」とでも言いたいのでしょうが、正直なところ退屈で刺さらない一作です。
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