
てんぞー

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女
平均 4.0
2026年01月29日に見ました。
前から思っていたけど、このシリーズにはけれん味が足りない。 キメ演出を盛れとは言わないが、爽快なMS同士の激突が少ないのは明確に不満な所。 MSは質量を感じるリアルな動きをするものの、戦闘は空中戦が主軸になるので重量感というよりも鈍重な印象を受けてしまう。 そんな所が弱点だと思っていたが、今作冒頭のPOV映像で、ふと気づくことがあった。 人間視点から見上げるMSの巨体、爆煙や粉じんの向こう見えるMSの影、どこから飛んでくるか分からない攻撃、圧倒的な存在から「自分が認知されている」という恐怖。圧倒的な恐怖の対象としてのMS。 思えば、前作からして人間目線でMSの恐怖を描くという試みは十分にやっていた。 飛び散るメガ粒子の飛沫の中、ギギと逃げる場面はその最たるもの。 姿が見えないまま異音とともに迫るペーネロペーや、MSを俯瞰する視点を極力排した作り方など、その当時は「もっとMS見せろ」と思ったものだが、今回のPOV映像を見てハッキリと理解した。 つまりこの作品におけるMSとは恐怖であり災害であり、怪獣である。 そうか、閃光のハサウェイとは怪獣映画だったのだ。すべて理解できた。前作に抱いた不満がすべて腑に落ちる音が聞こえた。 他者を圧倒する大怪獣クスィーに対して、その内側に存在するハサウェイはドラマの中で苦しみ悩み、押しつぶされそうになっているのが非常に象徴的でもある。 閃光のハサウェイとして必要なドラマであり葛藤ではあるが、その捻れがけれん味の不在に繋がり、私をモヤモヤさせていたのだ。 これが目指した表現なのか、結果の産物なのかは分からないが、MSをロマンではなく恐怖として描こうとしている事に間違いはないだろう。 個人的にも前作からモヤモヤしていたわだかまりに答えを得たので、とても清々しい思いで鑑賞することが出来た。 それはそれとして、もっと怪獣(MS)見せろとは思っている。