
星ゆたか

奇跡の人(1962)
平均 3.8
2022.5 視覚、聴覚がなく発音できない三重苦のヘレン・ケラーという実在の女性。そしてケラーに“人格”を与えた、これまた実在の女性アニー・サリヴァンを描いた実話の映画。 もともとは、映画化の三年前にブロードウェイで一年半の大ヒット。 製作フレッド・コウ、脚本ウィリアム・ギブスン、演出アーサー・ペンの同じトリオによるもの。 出演のアン・バンクロフトもパティ・デュークも、その舞台で絶賛されていたそうだ。 実在のヘレン・ケラーは1880年生まれ。アニーによって指文字を勉強したあと、触読話と発音を学習、1900年ハーバード・ラドクリフ大学に、盲聾唖者では当時世界初の入学。(アニーも一緒)やがてヘレンは各国で講演、日本にも1937年4月15日訪日したそうだ。盲目福祉事業に尽くし、人文・法学博士号を得て、88歳で死去年した。 物語は北部の労働階級のアニー・サリヴァンと、奴隷そのままの黒人使用人を使う農場所有者ヘレン・ケラー一家との、物の考え方の違いをくっきりと対比させている。 一歳九カ月の時の高熱がもとで、目も耳も駄目になり、そのため口も利けず、甘やかされ育った、野獣のようなヘレンを、一度同じように失明したことのあるアニーが導いていく。 命令、反発、強制、服従という、指文字と実力行使による格闘。しかし愛情ある厳しさなら、相手に嫌われない。むしろ好きになる。 映画の方では、クローズ・アップあり、角度を変えたりの演技構築であった。そしてあの感動的シーンを迎える。『ウォーター』『ママ、パパ、ティーチャー、』 公開の翌年のアカデミー賞。フランク・シナトラの司会による受賞式。 主演・助演女優賞の誉れを得る。 ちなみに1979年には、ヘレン・ケラー生誕100年記念作品として、この時は、パティ・デュークがアニー・サリヴァン先生を演じた映画もあった。 もともとヘレン・ケラーという女性は、生後6カ月で〔水〕という言葉を覚えたというぐらい、利発な人間なのだ。 神は人に出来ない、乗り越えられない〔試練〕は与えない、ということなのだろうか。