レビュー
ジュネ

ジュネ

7 years ago

4.5


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荒野にて

映画 ・ 2017

平均 3.5

2019年86本目は過酷な環境にあがき続ける一人の少年と競走馬の友情を描いた、アンドリュー・ヘイ監督の最新作『荒野にて』。 これはホントに日々の暮らしで荒んだ私の心が洗われるような、素晴らしく濃密なドラマでした。主人公チャーリーの置かれた状況は15歳という彼の年齢を考えるとあまりにも酷すぎて。父親はチャーリーのことをちゃんと愛してはいるのですが無責任な部分も多く、普通に学校に行くことすら叶わないのです。 そんな彼が自分の姿を重ねながら、まるでたった一人の肉親であるかのように惜しみない愛情を競走馬のピートに注いでいく過程が涙腺を刺激します。中盤以降、のっぴきならない事情からチャーリーはとてつもない決断を下すのですが、彼とピートの前に広がる果てしない大平原は時に雄大に佇み、時に荒々しく行く手を遮ります。この大自然の情景の美しさだけでも見る価値があるんじゃないかと思えるほどで、それゆえにチャーリーが要所要所に出会う人々のちょっとした優しさが心に沁みました。 一人の孤独な少年と殺処分の運命にある一頭の競走馬が、ひたすら走って、厳しい現実から逃げて、闘って、それでも走って…必死に前へと進もうとする姿は痛々しいですけれど胸を打つものがありますし、シンプルな筋書きの中に巧みに絶望と希望とを表現した珠玉の一作です。