レビュー
2020年93本目は、『ソウ』『インシディアス』など数々のホラーやスリラーを手がけてきたリー・ワネル監督の新作『透明人間』。 ------------------------------------------------------------ 『マミー』で大失敗に終わったダーク・ユニバースから方向転換する形で製作されましたが、大金をかけずとも魅力的な作品を作れることを完璧に証明する結果となりましたね。女性が真実を語っても全く取りあってもらえず、精神的な倒錯を疑われて孤立していくパターンは今やお決まりですけど、本作は見せ方がバツグンに上手いため恐怖も倍増して感じられます。 ------------------------------------------------------------ 普通であれば早々に透明人間の存在を明かしたいところを、この映画では限界まで「いる」「いない」の2択で翻弄し続け、緊張感を巧みに持続させていくのです。その最中、わざと誰もいない画面を長回しで映し続けることで、観客の脳裏には存在しないはずの「彼」の姿が完全にイメージとして焼き付いてしまいます。そしてマックスまで溜めてからの音響と映像でドーン!これは驚かないわけがありません。 ---------------------------------------------------------- セシリアを蝕んでいくのは怪物「透明人間」による物理的な身体攻撃のみならず、自分と親しい友人たちが一瞬にして彼女を異常者とみなす「敵意」であり、ついには自分自身を信じられなくなる「絶望」でもあります。目に見えない怪物は、目に見えないネガティブな感情を利用してセシリアを追いつめていきます。対する彼女の反撃はいかに?単なるホラーではなく、女性の自我の解放を描いたドラマとしても見どころ抜群の快作です。
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