レビュー
タイトルとジャケットでコメディのように見せかけておいて、中身はとんでもなくシリアスでディーブな話。完全なるジャケット詐欺。自分はこの手の話が大好物だが、ラブコメを期待して観た女性からは総スカンだろうし、だからこそこんな低評価になっているのだろう。完全なプロモーションのミス。 幼馴染でその相手しか知らずに結婚する二人が、愛を確かめるために一度それぞれ他の相手と関係を持ってみる、という話。結果、男は女の元へ戻ってくるが、女は離れていくのだった。相手を一人に絞るとは一体どのような基準で選ぶものなのか、この世に数多いる人間の中からその人を選ぶにあたって何を信じれば良いのか、これは実は結構深い話だ。例えば男はちょっと特殊な性癖を持っており、それを彼女に打ち明けることができず、完全に満足した性生活を送れていない。けれども彼が出した結論は、彼女が嫌がることをしないということ。彼女がしてほしいと思うことをすることこそが自分の喜びになる、何故なら彼女を愛しているから、というのが彼が出した答え。一方、彼女は彼を受け入れられない自分が悲しくて泣く。そして他の男と関係を持った結果、色々な意味で彼との身体の相性が良くなかったことを知ってしまうのだ。二人の距離感は離れていくばかり。さらに彼女が選んだ浮気相手は、彼女が本当はピアノを弾きたがっていることに気付き、コンサートホールに忍び込んで彼女にピアノを弾かせる。それはずっと一緒にいたはずの幼馴染の男が決して気付かなかったこと。そうして彼女は離れて行ったのである。一度プロポーズを受けたものの、体が固まって新居に一歩も入れなくなってしまうラストシーンが本当に切ない。彼のことは愛していると思っているはずなのに、一歩この家に入ったら、もうこの先一生、彼とだけ生きていくことになる。その事実に耐えられずに逃げ出してしまう彼女の心の動きがとても丁寧に描かれており、あまりに悲しいラストだった。ただわざわざ自力で家を建てたのに振られた彼氏はめちゃくちゃ可哀想。 ゲイカップルの話はちょっとノイズに感じた。パートナーと一生向き合っていくことの難しさを描きたかったのだろうが、本筋だけで十分。
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