
樹佳
2 years ago
4.5

どですかでん
映画 ・ 1970
平均 3.2
黒澤明監督作として観たため、冒頭から1時間ほど世界観を掴むのに時間が掛かった。それほど、今まで見てきた黒澤作品とは毛色が違っていました。 ただ、その世界に入ってしまえばどんどんとのめり込み、軽快な音楽とエグいほどの気味の悪さ、その世界に住む貧困層の人々の平凡で珍妙な生活、居心地が悪いのが心地いい。なんで矛盾しているのに調和を感じるのだろう。 セリフ1つ1つがバラバラと唐突で繋がっていないように思うけど、どれも心にズーンと残っていて、特に長老が自殺志願者に言う「楽しい夢を見るのも、生きていればこそだねぇ」という台詞がいつまでも忘れられない。 「生きる」っていうのは何て切なくて何て愛おしいんだろう。 とにもかくにも照明と色彩が素晴らしく鮮明で好きでした。