レビュー
若き天才として今もっとも注目を浴びる新進気鋭の監督、グザヴィエ・ドランのデビュー作で、なんとこちらは彼が19歳のときに撮影された1本です。見てみるとわかると思いますが、ストーリーの組み立て方や独特の演出・描写など、そりゃ天才と言われるのも納得だわと感嘆してしまいました。 思春期の少年が必ずやぶち当たる壁、すなわち親との対立をテーマとした一見ありがちなストーリーに見えるものの、これを誰しもが「わかるわかる!」と共感できる実に見事なダメ親再現VTRに仕上げてくる力量は相当なものです。 劇中で描かれる母親は確かに傲慢で聞き分けがなく、あまりに自己中心的ですし、こんな親元で育ったらひねくれるのも当たり前だと思います。しかし、大人になるまで私たちはどんな家庭にも大なり小なり問題があり、親もまた人の子であるという当たり前の事実に気づくことができないのです。そんな青くて幼い考えを持っていた過去の自分を省みながら、また一つ大人の階段を上った気にさせられる優れた一作です。
いいね 6コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.