
ひとむ

この世界の(さらにいくつもの)片隅に
平均 3.9
昨日試写会で観てきました。 監督もこれで初めて通して観るので、実質0号試写会とのこと。 まさか試写会に天皇御一家も御同席されるとは思わず、貴重な時間を過ごすことにどきどきしました。 2時間10分の、この世界の片隅に、さらにいくつも、38分のシーンが追加されたのが、今回の作品となります。 . 以前「この世界の片隅に」のほうを映画館でみて、感動とも悲しみとも違う、侘しさとあたたかさと弱さと力強さを感じて泣きました。 あれから3年。 さらにいくつもの、も、作品の解釈が変わるすてきな作品でした。 . 玉音放送をきいたあとのすずさんの、 「ぼーっと生きてるうちのままでいたかった」 という台詞の受け取り方が変わりました。 この世界の片隅にのすずさんより、さらにいくつもの、のほうが、いい意味でより生々しく、「ぼーっとしているうち」に対して精神的に大人になってしまったすずさんを感じました。 監督のいうとおり、地続きだけれど、たしかに別の作品です。そして、どちらも比べようがなく尊い作品です。 片渕監督はこの映画を作り上げるために10年近くを、この作品に費やしてきました。 わたしはこんなに、真摯に作品に寄り添って映像化された作品を知りません。 こうの先生が描いたものを、その時代に生きた人たちを、アニメに。 監督の情熱と執念の結晶だと思います。 . 戦争を扱う作品をすきだというと、「戦争」や「戦争がある世界観」さえも肯定してしまうニュアンスになってしまいそうで、言葉選びが難しいのですが、とくに「この世界の片隅に」や今作の「この世界のさらにいくつもの片隅に」は、戦争を肯定も否定もしていません。 戦争ダメ。ゼッタイ。なんて、一言も言わない。 戦争があった時代の人たちはどんな価値観で、どんな物を食べ、どんな生活をしていたのか。ただそれだけを描いている作品で。 だからこそ、この作品からなにを受け取って、どんな考え方をするかは、見た人次第になります。 でも、願わくば。 こうの先生や片渕監督、この作品に出資した方々や製作スタッフたちががんばって作り上げたこの作品で、よりあたたかい世界になれば。 2時間48分。長い旅立ちとなりますが、どうぞ映画館で観てください。